札幌バイオフードリサイクル株式会社は2024年11月から、札幌市東区の札幌市リサイクル団地内で、北海道内最大となる食品バイオガス発電施設の運営を開始しました。
この施設では、食品廃棄物をメタン発酵させて発電し、発酵残渣はすべて肥料化する「ダブルリサイクルループ」に取り組んでいます。
JFEエンジニアリング ニュースリリース:北海道最大の食品バイオガス発電施設完成! ~地産地消型”ダブルリサイクルループ”で札幌市のゼロカーボンシティ実現に貢献~
電力と肥料のループを同時に回すことで、エネルギーの地域循環と食品リサイクル率向上を両立させます。
バイオガスで発電「札幌バイオフードリサイクル」
札幌バイオフードリサイクル株式会社は、J&T環境株式会社が100%出資する食品リサイクル・バイオガス発電事業会社で、1997年3月に設立されました。
札幌バイオフードリサイクル:札幌バイオフードリサイクル
J&T環境は、給食センターや食品製造工場、外食産業など、多様な排出事業者から食品廃棄物を受け入れ、全国6カ所で食品リサイクル発電事業を行っています。
今回の新工場は、札幌市リサイクル団地内にあった既存工場を一新し、処理能力を大幅に強化したものです。食品廃棄物を原料とするバイオガス発電施設としては、北海道内で最大規模となります。
年間想定発電量は、一般家庭約4,560世帯分の年間使用電力量に相当する約16,420MWhとなり、道内では最大の能力となります。
発電した電力はアーバンエナジーを通じて売電し、食品廃棄物の発酵残渣は、全量を肥料として再利用する予定で、再生可能エネルギーの地産地消を目指しています。
受け入れ食品廃棄物の拡大 事業系一般廃棄物と産業廃棄物
新工場は受け入れ可能な食品廃棄物が拡大しており、処理能力もこれまでは68t/日でしたが、新工場では最大100t/日に向上しています。
旧工場では事業系一般廃棄物の食品廃棄物を受け入れていましたが、新工場では、札幌市や札幌近郊から排出された産業廃棄物の食品廃棄物も新たに受け入れます。
産業廃棄物には業種を問わず該当する品目と、食料品製造業などの特定業種のみ該当する品目があり、この組み合わせが食品廃棄物の区分を左右します。
産業廃棄物に分類されると、より厳格な排出事業者責任が伴い、マニフェストの発行が必須となります。
札幌市の取り組み 事業系生ごみの削減

札幌市では2050年のゼロカーボンシティの実現に向けて、ごみ減量・資源化への取り組みを積極的に推進しており、事業系一般廃棄物の3割を占める生ごみの発生抑制、リサイクルを推進しています。
札幌市:事業系生ごみの削減
札幌市内で発生した生ゴミは事業系一般廃棄物として、民間のリサイクル施設や札幌市の清掃工場で処理されてきました。
札幌市では、平成10年から事業系生ごみの分別回収を開始しており、約2万1千トンをリサイクル処理しています。札幌バイオフードリサイクルの新工場は、札幌市内で収集した生ゴミ処理の一部を担います。
ダブルリサイクルループ 電力と肥料の地産地消モデル

この施設のコンセプトである「ダブルリサイクルループ」とは、食品廃棄物をクリーン電力と肥料という2つの資源へ転換し、いずれも地域内で循環させる地産地消型のリサイクルモデルを指します。
電力のループと肥料のループを同時に回すことで、食品リサイクル率の向上と再生可能エネルギーの地域循環を両立します。
FIT活用とアーバンエナジーを通じた売電
発電した電力は、FIT(固定価格買取)制度を活用するとともに、JFEエンジニアリングの電力小売事業子会社であるアーバンエナジー株式会社を通じて売電されます。
廃棄物を排出した地域の事業者が、再エネ電力として利用する経路を確保することで、廃棄物の搬入から再エネ電力の利用まで地域内で完結する仕組みです。
発酵残渣の全量肥料化
メタン発酵の処理過程で発生する発酵残渣は、全量の肥料化が進められます。
発酵残渣には窒素・リン・カリウムなどの肥料成分が残存しており、農地還元することで化学肥料の使用削減にも寄与します。
JFEの食品リサイクル・バイオガス発電事業
JFEエンジニアリングは、JFEグループの大手エンジニアリング企業で、都市部の食品リサイクルでは、実績数・事業規模ともにトップクラスです。
参考記事:JFEエンジニアリングのバイオガス事業概要と技術的強み
子会社のJ&T環境は、札幌バイオフードリサイクルを含めて国内6か所にメタン発酵施設を持ち、横浜や福岡、宮城、千葉、愛知、北海道で食品リサイクルとバイオガス発電事業を行っています。
JFEエンジニアリングは2025年に外食大手4社(あきんどスシロー・アレフ・ロイヤルホールディングス・物語コーポレーション)と、フードロス発電で提携しています。
参考記事:JFEと外食4社がフードロス発電で連携 食品廃棄物でメタン発酵
食品専門商社のANAフーズは、札幌でバナナ加工残渣を活用した資源循環モデルを運用しています。
参考記事:ANAフーズがバナナ加工残渣でバイオガス発電 札幌の食品廃棄物循環モデル
JFEエンジニアリングはこれらの実績をもとに、提携企業を全国規模へ拡大し、受け入れる廃棄物の品目や量を増やすことで、プラントの発電効率を高める方針です。






