日本ガス協会 2026年度計画にバイオメタン導入促進を明記

日本ガス協会 2026年度計画にバイオメタン導入促進を明記

日本ガス協会は2026年度の事業計画で、e-メタン・バイオメタンの地方を含めた導入促進と、利用拡大に向けた中長期的な仕組み・制度の検討を重点項目として明記しました。

一般社団法人日本ガス協会:2026年度 事業計画書

事業計画では、業界内でのバイオガス活用事例の水平展開も併記されており、都市ガス業界が再生可能ガスを継続テーマとして扱う姿勢を示しています。

2025年6月に策定された「ガスビジョン2050」を受け、初の本格的な実行フェーズとして、制度設計と実装の両面で国内バイオメタン市場の立ち上げが進むと見込まれます。

日本ガス協会2026年度事業計画 バイオメタンが重点項目に

日本ガス協会は2025年6月に「ガスビジョン2050」と「アクションプラン2030」を策定・公表しています。

参考記事:日本ガス協会「ガスビジョン2050」公表 バイオガスとe-メタンの役割

この中では、e-メタンの大規模製造や、海外サプライチェーンの構築、国際的なCO2カウントルールへの適合、環境価値移転の仕組みを構築し、2030年度のe-メタンやバイオガスの1%供給を目指すとしています。

2026年度事業計画は、この中長期ビジョンを受けた本格的な単年度実行計画にあたり、方針策定から実装・制度化へと進む節目になります。

注目すべきは、業界団体の正式な年度事業計画として、バイオメタンが重点項目に組み込まれた点です。

これは、個別事業者の取り組みや実証事業ベースで進んできたバイオメタン導入が、業界全体の継続テーマとして制度的に位置づけられたことを意味します。

事業計画が示すバイオメタン導入促進の3つの具体策

2026年度事業計画で示されたバイオメタン関連の取り組みは、大きく3つの柱に整理できます。

  • 地方を含めた導入促進・利用拡大に資する中長期的な仕組み・制度の検討
  • バイオガス活用事例の業界内展開
  • e-メタンとの一体的な取り組みによるガスエネルギーのカーボンニュートラル化推進

中長期的な制度設計 導管注入と環境価値移転の枠組み

制度検討の中心となるのが、都市ガス導管への注入制度と環境価値移転の仕組みです。

アクションプラン2030ではe-メタンの全国展開に向けて、パイプライン未接続でもe-メタンの環境価値を利用できるように、環境価値移転の仕組みを構築すると明記しています。

また、地域のバイオマスを原料とするバイオメタンや、バイオガス由来CO2の都市ガス原料への利用を通じて、地域のカーボンニュートラルと地方創生を推進するとしています

バイオメタンを導管へ注入する際には、ガス事業法に基づく品質基準(発熱量、燃焼速度、硫黄全量、硫化水素濃度等)を厳密に満たす必要があります。

このため、技術基準と制度基準の両面で、地方事業者や廃棄物処理事業者が参入しやすい枠組み整備が課題となっています。

クリーンガス証書の業界内展開と活用拡大

クリーンガス証書制度は、環境価値をエネルギー価値から分離させて移転可能とする仕組みで、ガス体エネルギーにおける証書制度として、国内で初めての取り組みになります。

2024年4月に民間運用が開始され、2025年の大阪・関西万博では会場のカーボンニュートラル化にも活用されました。

2026年度事業計画では、この証書制度の認証体制強化と国際規格への対応が進められる方針です。

日本ガス協会は、クリーンガス証書制度の国際規格(ISO規格)に則った形で、2027年から認証機関の審査体制を導入すると公表しており、証書の信頼性・国際通用性を高める動きが加速しています。

2026年度事業計画 市場への影響

日本のバイオメタン市場は、これまで発電用途(FIT制度下のバイオガス発電)が主流で、都市ガス導管注入の規模や普及は限定的でした。

しかし、2026年度事業計画への明記は、以下の観点で市場に構造的な変化をもたらす可能性があります。

項目従来の位置づけ2026年度事業計画以降
政策上の扱い個別事業者の実証・ビジョン表明業界団体の年度計画に明記(継続テーマ化)
主な用途発電(FIT活用)都市ガスの脱炭素化手段(導管注入)
環境価値の流通個別契約中心クリーンガス証書による広域移転
主要プレイヤー大手ガス3社中心地方ガス事業者・廃棄物処理事業者の参入加速

海外のバイオメタン利用先行事例

計画では都市ガスの脱炭素化手段として、発電用途よりも導管注入の位置づけが鮮明になった点が重要です。

海外の先行事例を見ると、フランスでは2015年のEnergy Transition for Green Growth Actにより、2030年にガス消費量の最大10%をバイオガスで賄う目標が掲げられました。

フランスの支援スキームは、発電よりもガスグリッドへのバイオメタン注入を優先しています。

また、英国では2021年11月からGreen Gas Support Scheme(GGSS)が導入され、参加するバイオメタン供給者は15年間、導管注入量に応じた支払いを受ける仕組みが運用されています。

資源エネルギー庁の資料にも、海外先行事例の記載があり、日本もバイオメタン利用の制度設計で、こうした欧州型スキームを参照する可能性があります。

資源エネルギー庁:バイオガス・バイオメタンの都市ガス利用について

バイオガスプラント事業戦略の再構築

日本ガス協会の方針決定により、2026年以降は「クリーンガス証書」などの環境価値の取引市場が活性化し、バイオメタンの価値や事業採算性を評価する枠組みが整っていくと考えられます。

国内のバイオメタン市場はいまだに立ち上げの段階ですが、この動向はバイオガスプラント事業者や精製技術メーカーにとって、中長期的な需要創出につなると期待されます。

今後はバイオガス発電のみの事業モデルを脱し、バイオメタン化・証書化までを視野に入れ、事業戦略の再構築が求められるフェーズに入ったといえるでしょう。


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