大阪ガスが海外産バイオメタンを商業施設に供給 ららぽーとEXPOCITY

大阪ガス株式会社、Daigasエナジー株式会社、三井不動産株式会社が、三井ショッピングパークららぽーとEXPOCITY(大阪府吹田市)に対し、海外産バイオメタンを供給することで合意しました。

大阪ガス プレスリリース:日本初、海外産バイオメタンを活用したカーボン・オフセット都市ガスを商業施設で利用 ~ 三井ショッピングパーク ららぽーとEXPOCITYで脱炭素化を推進 ~

供給するのは米国産バイオメタンの環境価値証明書を付与したカーボン・オフセット都市ガスで、海外産バイオメタンを日本の商業施設で活用するのは国内初となります。

米国Archaea Energyのバイオメタン調達スキーム

米国Archaea Energyのバイオメタン調達スキーム

調達元のArchaea Energyは、米国最大級の再生可能天然ガス(RNG)事業者で、埋立地ガス(LFG)を主な原料とするRNGプラットフォームを全米で展開しています。

2022年末にBPに買収され、その資金力と規模を背景に、埋立地ガス(RNG)の新規開発と既存プロジェクトの最適化を進めており、業界を牽引する存在となっています。

Archaea Energyについて:Archaea Energy (アーキア・エナジー)

調達契約に基づくバイオメタンは約2.6万Nm³(約20トン)となっており、米国内パイプラインを経由してテキサス州フリーポートLNG基地で液化された後、LNGタンカーで輸送されました。

バイオメタンは主成分がメタンであり、既存のLNGサプライチェーン・都市ガス導管にそのままドロップインできるため、追加インフラ投資を抑えて脱炭素化を進めることができます。

米国バイオメタン調達スキームの概要

項目内容
調達元bpグループ Archaea Energy(米国・埋立地ガス由来RNG)
調達量約2.6万Nm³(約20トン)
液化拠点フリーポートLNG基地(米テキサス州)
受入拠点大阪ガス 泉北製造所(受入時期:2026年1月)
環境価値追跡M-RETS(Midwest Renewable Energy Tracking System)
供給先三井ショッピングパーク ららぽーとEXPOCITY
使用範囲ガス空調・コージェネで使用する都市ガスの3〜4割相当

環境価値証明書を活用したカーボン・オフセット

この取り組みで活用されるのは、北米の再生可能エネルギー追跡システムM-RETS(現CleanCounts)が発行する環境価値証明書です。

CleanCounts:CleanCounts, tech-forward, climate-aligned REC & RTC registries

海外産e-メタン・バイオメタンが保有する環境価値は、現時点で日本の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)等での活用が認められておらず、国の審議会等で算定ルールの検討が進められています。

この案件はSHK制度認定に先行して、M-RETSという北米で認知された証書方式により、実質的な環境価値移転を行うパイロット的位置付けになります。

海外産バイオメタン活用の背景

日本ガス協会は2025年6月に発表した「ガスビジョン2050」で、2050年時点にガス供給全体の50〜90%を、e-メタンとバイオガスへ置き換える方針を打ち出しました。

参考記事:日本ガス協会「ガスビジョン2050」公表 バイオガスとe-メタンの役割

中間目標として、2030年度に1%相当をガス導管へ注入する計画ですが、国内のバイオメタン生産は地域分散型・少量のため、大規模需要を満たすには海外調達が不可欠となっています。

海外産バイオメタンの事例として、2024年3月に東京ガスと三井物産が、米国キャメロンLNG基地経由で約4万m³(気体換算)を扇島LNG基地で受け入れたのが最初です。

参考記事:三井物産と東京ガスが国内初の海外産バイオメタン輸入

その後、大阪ガスも2025年にArchaea Energy社と調達契約を締結し、2026年1月に泉北製造所で受け入れ、3月に商業施設へ供給しており、約2年間で輸入実証から供給へと進んでいます。

参考記事:大阪ガスが米国産バイオメタンを調達

今回の商業施設向け供給は、Scope1排出量の削減ニーズが商業不動産にも広がっていることを表しています。

デカボEXPOと商業不動産セクターの脱炭素化

ららぽーとEXPOCITY デカボEXPO

ららぽーとEXPOCITYでは、2026年3月23〜29日に館内の脱炭素貢献度を見える化する啓発イベント「デカボEXPO」を開催しました。

ららぽーとEXPOCITY:デカボEXPO

デカボEXPOでは、来館者が脱炭素を自ら体験できる場を設けており、エネルギー脱炭素化と消費者へのアピールを一体化させる試みとなっています。

ららぽーとEXPOCITYでは、ガス空調およびコージェネレーションに使用する都市ガスの3〜4割を、バイオメタンに置き換える方針が示されています。

商業不動産セクターでは、東京建物・三菱地所・森ビルなど大手デベロッパーがネットゼロ目標を掲げており、テナント側のScope3削減ニーズも顕在化しています。

今回のバイオメタン供給は、不動産業界向けの脱炭素モデルケースとして評価できます。


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