東京ガスの革新的メタネーション技術 ハイブリッドサバティエ・PEMCO2還元

東京ガスの革新的メタネーション技術 ハイブリッドサバティエ・PEMCO2還元

東京ガスが、e-メタン(合成メタン)製造で課題とされる低エネルギー効率と高コストの解決に向けて、革新的なメタネーション技術を開発しています。

東京ガス:e-メタンをつくる最新技術 ~革新的メタネーション~

東京ガスはJAXAやIHIと共同でメタネーションの研究を行っており、ハイブリッドサバティエとPEMCO2還元技術によって、エネルギー効率の大幅な向上を目指しています。

革新的メタネーション技術 ハイブリッドサバティエ

ハイブリッドサバティエは、水電解セルとサバティエ反応器を統合して、サバティエ反応で発生した熱を有効に利用し、効率よくメタンを生成するための技術です。

水電解によって水素を発生させるには大量の電力が必要ですが、サバティエ反応で発生した熱を水電解に活用することで、消費電力の削減によるコストダウンが可能です。

サバティエ反応の問題点 発熱とメタン生成効率低下

従来のメタネーションでは、サバティエ反応(CO₂ + 4H₂ → CH₄ + 2H₂O)の際に300℃~400℃の大きな発熱を伴うため、触媒の劣化やメタン生成効率が低下するという問題がありました。

  • 触媒の劣化:触媒の微細構造を破壊(シンタリング)し、活性を低下させる主要因となります。
  • メタン生成効率の低下:メタン化反応は熱力学平衡の制約を受けるため、高温になるほど効率が低下します。

また、発熱問題を解決するために、反応器の多段化や冷却装置の追加、反応しないガスを再循環させるといったプロセスが必要で、プラント設備の高コスト要因となります。

現状のサバティエ反応では、エネルギー効率の理論上限が85%程度、実用レベルでは50~60%に留まります。

水電解セルを統合して発熱を抑制

ハイブリッドサバティエはこれらの問題を解決するため、メタンを合成するサバティエ反応器と、水素(H₂)を製造する「固体高分子形(PEM)水電解セル」を一体化しています。

  • 水素供給:PEM水電解セルで製造した水素の一部を、従来通りサバティエ反応器に供給します。
  • CO2直接還元(革新的ポイント):PEM水電解セルの水素発生極(カソード)に、水素だけでなくCO₂も供給することで、CO₂が直接メタンに電気化学的に還元される反応が起こります。

ハイブリッドサバティエでは、低温域でも高い活性を示す触媒を活用して低温稼働を実現しています。この触媒はグリーンイノベーション基金事業において、JAXAと共同で研究開発したものです。

また、低温でも稼働するため冷却装置などが不要となり、メタン生成において化学平衡上有利となるより低い温度(~220℃)での運転が可能になります。これによってエネルギー効率が飛躍的に向上します。

ハイブリッドサバティエの原理はすでに実証済みで、JAXA(宇宙航空研究開発機構)やIHIと共同研究を行っており、早期の社会実装を目指しています。

IHIプレスリリース:NEDOグリーンイノベーション基金事業 CO₂等を用いた燃料製造技術開発プロジェクトの実施予定先に選定

革新的メタネーション技術 PEMCO2還元技術

PEMCO2還元技術は、水電解に用いられるPEM(固体高分子電解質膜 Polymer Electrolyte Membrane)を用いて、水とCO2を直接還元させてメタンを合成する技術です。

従来のメタネーションは、① 水電解で水素を作り、② 水素とCO₂を反応させてメタンを合成していましたが、PEMCO2還元技術は、この2つのプロセスを1つの装置(電解セル)で完結させることが可能です。

その仕組みですが、固体高分子膜(PEM)を挟んだ電解セルに水(H₂O)とCO₂を供給し、再生可能エネルギー由来の電気を流すことで、水を分解しながらCO₂を直接メタンに変換します。

従来のメタネーションとの比較

PEMCO2還元技術を用いると、サバティエ反応を経ずに直接メタンを合成できるため、プロセスの高効率化や装置コストの低減が可能になります。

項目従来技術PEMCO2還元技術
プロセス2段階(水素製造+メタン合成)1段階(ワンステップ)
主要設備水電解装置+メタネーション反応器PEMCO2還元装置のみ
設備コスト高い大幅な削減が可能
エネルギー効率50~60%およそ80%

まだ基礎研究段階ですが、電極で用いる触媒の開発やセル構造の最適化を進めることで、e-メタンの製造コストを劇的に下げることができます。

e-メタンのコストダウン

e-メタンの製造コストは、再エネ電力コストと設備コストが大半を占めます。メタネーションのエネルギー効率が50%から80%に向上すると、同量のe-メタン製造に必要な電力は大幅に減少します。

さらに、ハイブリッドサバティエによる設備の小型化や、PEMCO2還元によるプロセス効率化によって、プラントの建設にかかる設備コストを大きく削減することができます。

東京ガスは、これらの革新的メタネーション技術について、2020年代後半にパイロットスケールでの実証を目指し、2030年代の実用化を視野に入れています。

メタネーションに取り組む各企業も技術開発を進めており、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、e-メタン価格を大幅に下げることで早期の普及を図ります。

経済産業省:メタネーション取組マップ2023


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