東京ガス株式会社と東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(TGES)が共同開発した「バイオガス精製システム」が、日本ガス協会技術賞を受賞しました。
2025年度の日本ガス協会技術賞は、ガス技術部門6件、サービス技術部門5件の計11件が受賞し、東京ガスのバイオガス精製システムは、カーボンニュートラル実現に向けたソリューションとして評価されました。
東京ガス ニュース:「バイオガス精製システム」が2025年度日本ガス協会技術賞を受賞
バイオガス精製システムの概要

東京ガスが開発した膜分離法の精製システムは、下水汚泥や食品残渣から生成したバイオガス中のメタンを二酸化炭素と分離して、メタン濃度を98%以上に精製することができます。
精製したメタンは都市ガスの成分とほぼ同一で、既存のLNGおよび都市ガスインフラをそのまま活用できるため、追加コストを抑えながらカーボンニュートラルを実現できます。
このシステムには、硫化水素やシロキサンなどの不純物除去設備を搭載しており、成分の異なるバイオガスにも対応可能となっています。
膜分離法によるバイオガス精製の技術的優位性
東京ガスのバイオガス精製システムの特徴は、膜分離法を採用した点にあります。
東京ガスはバイオガスの導管注入を2011年から実施していますが、当時のCO2分離・不純物除去装置はメタン回収率が低く、トラブルが頻繁に発生しました。
東京ガスはこれらの課題を解決するため、2012年からバイオガス精製システムの自社開発を開始し、独自の分離膜方式の実用化に至りました。
バッチ方式によるバイオガス精製の問題
従来のバッチ方式によるバイオガス精製は、吸収材を利用するPSA法、CO2の水への溶解を使った高圧水吸収法などがあります。しかし、バッチ方式には以下の課題がありました。
- 圧力・流量変動がある
- CH₄回収率が低下する(CH₄濃度98%時、CH₄回収率70%程度)
- 不純物の除去に複雑なシステムが必要
膜分離法によるバイオガス精製のメリット
東京ガスでは従来のガス分離⽅式を⽐較検討し、圧⼒や流量が安定する分離膜⽅式を採⽤しました。膜分離法には以下のメリットがあります。
- 圧力・流量が安定する
- CH₄濃度98%時、CH₄回収率90%以上を達成(既存技術はCH₄濃度98%時、CH₄回収率70%程度)
- 分離膜特性を踏まえたシステムフローを採用し、パラメータを最適化することで、高濃度のバイオメタンを安定して製造
- バイオガス中のCO2も高濃度で濃縮可能
鹿児島市南部清掃工場での実績
東京ガスのバイオガス精製システムは、横浜市北部汚泥資源化センターでの実証試験を経て、2022年から鹿児島市南部清掃工場で国内初の商用運転を開始しています。
鹿児島市南部清掃工場では、生ごみや紙ごみ等から発生したバイオガスを精製し、都市ガスの原料として日本ガス株式会社に供給しています。
参考記事:鹿児島市と日本ガスのごみ由来バイオガス 小学校に供給
日本ガスと鹿児島市は、ごみ処理場由来のバイオメタンを使用し、市内42校の小学校へ「カーボンオフセット都市ガス(バイオガス)」を供給しています。
小学校で消費される都市ガスのCO₂排出量はみなしゼロとなる見込みで、オフセットに頼らない再生可能エネルギー100%の都市ガス供給は全国初となります。
カーボンニュートラル実現に向けた都市ガスインフラの活用
東京ガスはグループ経営ビジョン「Compass2030」で、CO₂ネットゼロや価値共創を掲げています。
東京ガスのバイオガス精製システムは、既存の都市ガスインフラをそのまま活用できる点に意義があり、食品残渣や下水汚泥などの廃棄物からエネルギーを生み出す道筋を開きました。
- 下水処理場、ごみ処理施設でのバイオガス活用の促進
- 地域分散型エネルギーシステムの構築
- 既存都市ガスインフラの脱炭素化への貢献
- 廃棄物処理と再生可能エネルギー生産の統合
この技術を全国の廃棄物処理施設に展開し、廃棄物の都市ガス原料化を進めることで、カーボンニュートラル達成に大きく貢献することが期待されています。






