画像:豊橋市 市政企画番組YouTubeチャンネルより
愛知県豊橋市の中島処理場内にある「豊橋市バイオマス利活用センター」では、生ゴミなどの廃棄物を微生物によって発酵させたガスで発電する「バイオガス発電」を行っています。
中京テレビNEWS:生ゴミや汚泥で発電する「バイオガス発電」で6億円“経済効果” 市民が530動で培った精神も支えに 愛知・豊橋市
国内最大級の発酵槽を備え、下水汚泥・し尿・浄化槽汚泥・生ごみを集約してメタン発酵処理し、一般家庭約1,890世帯分にあたる年間約680万kWhを発電しています。
バイオガス発電と炭化燃料製造を行う複合バイオマスエネルギー化によって、生ごみの処理費用3億円の削減と、年間3億円の売電収入を生み出し、経済効果は年間約6億円に達します。
年間6億円の経済効果 発電とCO2削減の実績
キッチンから始まる未来!~生ごみ分別を徹底しよう!~【豊橋市 市政企画番組YouTube】
豊橋市では、2017年10月から「豊橋市バイオマス利活用センター」の稼働を開始し、下水汚泥、し尿・浄化槽汚泥及び生ごみを処理場に集約して、メタン発酵によりバイオガスを発生させています。
豊橋市上下水道局:豊橋市バイオマス資源利活用施設整備・運営事業
設置されたバイオマスの発酵槽は日本最大規模で、バイオガス発電で生み出される電力は、一般家庭換算で約1890世帯分にあたる年間約680万kWh/年となります。
発電した電力はFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を利用して電気事業者に売却しています。
一連の取り組みを通じて、生ゴミや汚泥の処理費用を3億円削減し、さらに発電で年間3億円の売電収入を得ており、その経済効果は年間6億円にも達します。
また、従来は焼却処理されていた生ごみがメタン発酵に転換されたことなどにより、年間約14,000トンのCO2削減効果があります。これはスギの木約100万本の植樹効果に相当します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 年間発電量 | 約680万kWh |
| 一般家庭換算 | 約1,890世帯分 |
| 年間経済効果 | 約6億円(処理費削減3億円+売電収入3億円) |
| 年間CO2削減量 | 約14,000トン |
| メタン発酵槽容量 | 5,000m³(国内最大規模) |
| ガスホルダ容量 | 2,000m³ |
| 生ごみ受入量 | 約59トン/日(家庭系+事業系) |
| バイオガス組成 | メタン約60%、CO2約40% |
処理フローと技術的特徴
原料の受入・集約から発酵まで
豊橋市バイオマス利活用センターでは、下水汚泥・し尿・浄化槽汚泥・生ごみという複数のバイオマスを、同一施設に集約して処理する「混合消化(コ・ダイジェスチョン)」を採用しています。
下水汚泥は中島処理場の水処理工程から直接供給され、し尿・浄化槽汚泥と生ごみは収集車によって搬入されます。これらの原料は混合された上で、容量5,000m³の鋼板製メタン発酵槽に投入されます。
発酵槽内はガスエンジン発電機から得られる排熱を利用して約35℃(中温発酵)に維持されており、低動力型の撹拌機で24時間連続撹拌することで、槽内を均一な状態に保っています。
この発酵プロセスにより、メタン約60%・二酸化炭素約40%のバイオガスが生成されます。
バイオガス精製と発電
生成されたバイオガスには微量の硫化水素が含まれており、発電設備を腐食させる原因となります。
豊橋市バイオマス利活用センターでは、生物脱硫設備で硫化水素を除去した後、容量2,000m³のガスホルダに一時貯留し、燃料として一定量をガスエンジン発電設備に送って発電しています。
発電設備には高感度ガス検知器や温度センサーが設置されており、異常時は自動停止する安全装置を備えています。
炭化燃料の製造 バイオマスの100%エネルギー化
メタン発酵後に残った消化汚泥は、汚泥脱水機で含水率約80%まで脱水した後、炭化設備で炭化燃料に加工されます。製造された炭化燃料は石炭の約半分の熱量を持ち、化石燃料を代替することができます。
バイオガスから電力を、消化汚泥から炭化燃料をそれぞれ生成することで、投入されたバイオマスを100%エネルギーに転換する仕組みが完成しています。
この「廃棄物ゼロ」のアプローチは、他の下水処理場バイオガス事業との大きな差別化ポイントです。
PFI事業としての運営スキーム
豊橋市バイオマス資源利活用施設整備・運営事業は、PFI(Private Finance Initiative)のうち、BTO(Build Transfer Operate)方式で実施されています。
JFEエンジニアリング株式会社を代表とする4社の出資で設立されたSPC(特別目的会社)「株式会社豊橋バイオウィル」が、今後20年間にわたって施設の維持管理・運営を行います。
JFEエンジニアリング ニュースリリース:豊橋市で複合バイオマスエネルギー化施設竣工 ~国内最大規模 複合バイオマス発電PFI事業が始動~
施設の整備費と20年間の維持管理・運営費を含めた総事業費は、約148億円となっています。
一方、従来は市資源化センターで別々に処理していた生ごみ・し尿・浄化槽汚泥を中島処理場に集約することで、20年間で約120億円の財政負担軽減が見込まれています。
豊橋市のゴミ分別 生ゴミと燃えるゴミを分別
豊橋市は「自分のゴミは自分で持ち帰りましょう」を合い言葉にした「530(ゴミゼロ)運動」発祥の地です。
1975年から始まった530運動は2025年で50周年を迎え、豊橋市民の清掃・環境意識の高さは全国的にも知られています。
530運動ウェブサイト:530運動環境協議会(豊橋市)
バイオマス利活用センターの稼働に合わせて、豊橋市では2017年4月から生ごみの分別収集を開始しました。分別を徹底することで燃やすごみの量が減り、バイオマスとして活用できる資源が増加します。
豊橋市民の清掃に対する高い意識に加えて、市の広報によって生ごみが資源になることを周知しており、市民の協力を得ながら生ごみを回収する仕組みが、バイオガス発電事業を下支えしています。
バイオマス利活用センターでは施設見学も受け付けており、生ごみ分別に協力している市民に処理の実態を知ってもらう取り組みも行われています。






