自動車メーカーのスズキと、そのインド子会社Suzuki R&D Center India(SRDI)が手掛けるバイオガス精製プラント「BANAS SUZUKI BIOGAS PLANT」の開所式が、2025年12月6日に執り行われました。
スズキ 企業ニュース:スズキ、インドでバイオガス・プラント「BANAS SUZUKI BIOGAS PLANT」の開所式を開催
このプロジェクトは、単なるエネルギー施設の稼働に留まらず、自動車メーカーが燃料供給の上流工程(アップストリーム)へ関与する動きとして注目されます。
2025年12月の開所式には、アミット・シャー内務大臣をはじめとする政府高官や国会議員団、約25,000人の酪農家が出席し、インド国家プロジェクトとして期待値の高さが伺えます。
BANAS SUZUKIバイオガスプラントの概要

BANAS SUZUKIバイオガスプラントは、インド有数の酪農協同組合「Banas Dairy」と連携し、インド・グジャラート州バナスカンタ地域に建設されました。
このプラントは、スズキ初となるCNG車の燃料用バイオガス(CBG)生産販売施設となります。主原料は牛糞で、嫌気性消化によってバイオガスを生成し、精製後はCBG(圧縮バイオガス)として利用されます。
- 所在地: インド・グジャラート州バナスカンタ地域アグサラ
- 原料投入量: 最大約100トン / 日(牛糞)
- CBG生産量: 約1.5トン / 日
- 燃料供給能力: CNG車(ワゴンR等)約850台 / 日分(1日60km走行想定)
- 副産物: 有機肥料(固形・液肥)の生産および農業還元
副産物として発生する消化液は有機肥料として農地に還元され、エネルギーと農業を結ぶ循環型モデルが構築されています。
スズキがインドでバイオガス事業に注力する背景

スズキはインド子会社の Maruti Suzuki India(マルチ・スズキ・インディア)で自動車を生産しており、インドの乗用車市場では「国民車」として、約40%という圧倒的なシェアを維持しています。
また、スズキはインドで圧縮天然ガス(CNG)車を生産しており、2010年の導入開始からこれまでに180万台以上のCNG車を販売しています。
インドは世界最大の乳製品生産国であり、膨大に存在する牛糞からバイオガスを生産し、燃料を化石燃料からCBGに置き換えることで、二酸化炭素(CO₂)を大幅に削減することができます。
スズキはインド政府機関や現地企業と共同でバイオガスプラント設置に取り組んでおり、2025年より順次5か所のプラントを設置し、インドの成長とカーボンニュートラルの実現に貢献する方針です。
バイオガステック参考記事:スズキがインドで5か所目のバイオガス生産プラント設置で合意
インド政府のCBG政策
インド政府は Gobar Dhan(Galvanizing Organic Bio-Agro Resources Dhan)政策によって、インド農村部の公衆衛生改善とエネルギー創出を推進しています。
用語解説:Gobar Dhan とは
また、インド政府によるCBG普及イニシアチブ SATAT(Sustainable Alternative Towards Affordable Transportation)が、民間企業によるCBGプラント設置を後押ししています。
用語解説:SATAT とは
インド政府は国家戦略として、廃棄物を資源として活用する循環型経済への転換を進めており、この事業もインド政府の強力な政策支援によってバックアップされています。
バイオガステック参考記事:インド政府が国家バイオエネルギープログラムに投資
化石燃料の輸入依存を減らしつつ、農村部の所得を向上させるバイオガス事業は、インドのような農業大国にとって、経済成長と環境保護を両立させる地域密着型モデルとなります。
スズキは今後、グジャラート州内にさらに複数のプラントを設置する計画を公表しており、将来的にはインド全土への展開も視野に入れています。






