スシローが福岡で食品リサイクル発電とCO₂排出実質ゼロ化

スシローが福岡で食品リサイクル発電

回転すしチェーン「スシロー」を運営する株式会社あきんどスシローは、2025年4月1日から食品残渣由来の電力を使う「食品リサイクル発電+CO₂排出量実質ゼロ」の電力プランを導入しました。

この事業はJFEエンジニアリンググループと共同で行われ、福岡県内のスシロー7店舗で発生した食品残渣を、福岡バイオフードリサイクルが引き取ります。

食品残渣からメタン発酵によってバイオガスを発生させ、発電した電力を新電力のアーバンエナジーが買い取り、再びスシロー店舗へ供給する仕組みです。

J&T 環境株式会社 ニュース:回転すし「スシロー」の一部店舗において 「食品リサイクル発電+CO2実質排出量ゼロ」の電力プランを導入

スシローの食品リサイクル発電とCO₂排出実質ゼロ

今回の取り組みは、JFEエンジニアリングが100%出資する新電力アーバンエナジーが、グループの食品リサイクル事業と電力小売事業を組み合わせて提案した「循環型エコシステムサービス」です。

対象は福岡県内のスシロー7店舗で、食品残渣を原料とするバイオガス発電の電力をアーバンエナジーが買い取り、同じ店舗へ届けます。

あわせて再生可能エネルギー指定の非化石証書を用いる電力プラン「ゼロエミプラン®」を導入し、対象店舗のCO₂排出量を実質ゼロとしています。

外食産業の課題 低い食品リサイクル率

外食産業は食品リサイクル法によって、食品廃棄物の再生利用等実施率の目標が定められており、スシローの食品リサイクルへの取り組みは、自社の実施率を向上させるという目的もあります。

農林水産省によると、令和4年度の食品ロスは472万トンで、うち事業系は236万トンに上ります。業種別の再生利用等実施率を見ると、外食産業は約32%にとどまり、最も低い水準です。

農林水産省:令和5年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率(推計値)

農水省は2025年3月の新基本方針で、2029年度までに外食産業の実施率を50%へ引き上げる目標を掲げており、今回の取り組みは業界全体の底上げにつながります。

食べ残しを電力に アーバンエナジーの創電割とゼロエミプラン

このスキームの中核は、廃棄物の排出元に電力を戻す「電力リサイクルループ」です。

アーバンエナジーは、グループ会社が廃棄物から発電した電力を買い取り、その廃棄物を出した施設へ供給する際に、廃棄物量に応じて電気料金を割り引く独自サービス「創電割®」を2017年から提供しています。

アーバンエナジー:創電割

スシローは、廃棄物の処理コストを抑えながら再エネ由来の電力を調達でき、さらに非化石証書を組み合わせる「ゼロエミプラン®」によって、使用電力に伴うCO₂を実質ゼロにできます。

廃棄物削減・コスト抑制・脱炭素を同時に進められる点がメリットで、環境意識の高い外食事業者にとって導入の後押しとなります。

なお、同様の食品リサイクル発電スキームは、モスフードサービスの事例でも採用されています。

参考記事:モスフードが食品廃棄物を電力に CO₂実質ゼロへ

福岡バイオフードリサイクルのバイオガス発電

発電を担うのは、J&T環境が主体となり、2020年に環境エイジェンシーと共同設立した福岡バイオフードリサイクルです。

参考サイト:福岡バイオフードリサイクル

福岡市西区の工場は、J&T環境グループとして九州地区初となる食品リサイクル発電拠点で、2024年1月に段階稼働し、同年5月に本格稼働しました。

食品廃棄物を最大100トン/日受け入れ、メタン発酵で得たバイオガスを燃料に発電します。発電出力は1,560kW、年間想定発電量は約12,000MWh(一般家庭約2,700世帯分)です。

発電した電力はFIT制度の活用とあわせて地元へ供給し、エネルギーの地産地消を目指しています。

また、発酵残渣から製造した肥料「ふくのしずく」と「ふくのみのり」も登録済みで、近隣農地で二次利用する取り組みも進んでいます。

環境エイジェンシーも福岡市内に食品リサイクル施設を所有しており、食品残渣の飼料化を行っています。

参考サイト:株式会社 環境エイジェンシー

今後の展開 スシローとJFEの食品リサイクル

スシローとJFEの食品リサイクル

スシロー(福岡)の食品リサイクルの取り組みは、九州を起点とした地域内循環である点が特徴です。

現時点では福岡県内7店舗に留まりますが、対象店舗の拡大や、発酵残渣を肥料化して農業へ還す資源循環エコシステムへの発展が見込まれます。

スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIESは、魚のアラや骨を商品化する食品ロス対策、廃食用油を持続可能な航空燃料(SAF)原料に供する取り組みなど、多面的な資源循環を進めています。

参考サイト:地球環境とともに – 株式会社FOOD & LIFE COMPANIES

福岡での食品リサイクル発電導入は、全体戦略の中で店舗排出物のエネルギー化を担う位置づけといえます。

JFEエンジニアリンググループはスシローの他に、ロイヤルホールディングスや物語コーポレーション、アレフなど大手外食チェーンとも連携し、フードロス発電の供給網を全国に広げる方針です。

参考記事:JFEと外食4社がフードロス発電で連携 食品廃棄物でメタン発酵

また、北海道では道内最大の食品バイオガス発電施設「札幌バイオフードリサイクル」を運営しており、産業廃棄物となる食品廃棄物も受け入れています。

参考記事:食品廃棄物で発電「札幌バイオフードリサイクル」運営開始

食品廃棄物の利用率が低い外食領域で、スシローのような全国チェーンが資源循環モデルを展開すれば、業界全体の底上げに直結します。

JFEグループでは、今後も食品・外食産業との提携によって、バイオガス発電の原料を確保するとともに、電力供給まで含めた資源循環ビジネスを進める方針です。

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