ANAフーズがバナナ加工残渣でバイオガス発電 札幌の食品廃棄物循環モデル

ANAフーズがバナナ食品残渣でバイオガス発電

国内バナナ流通量の約1割を扱う食品専門商社のANAフーズが、2026年4月からJFEエンジニアリンググループと提携し、札幌支店のバナナ加工残渣を活用した資源循環モデルの運用を開始しました。

ANAフーズ ニュースリリース:ANAフーズとJFEエンジニアリンググループ「これまで捨てられていたものを、使えるエネルギーとして活用する」ANAフーズ札幌支店を起点とした資源循環の運用を開始

これまで廃棄されていたバナナの加工残渣をメタン発酵させ、バイオガス発電で電力に変えて再び自社支店で使う「地産地消型」の取り組みとなります。

外食産業の食品残渣に続いて、食品商社がフードロス由来のバイオガス発電に参入した点が注目されます。

食品商社が食品リサイクルに取り組む理由

ANAフーズはANAグループ内の食品専門商社で、エクアドルやフィリピン産バナナなどの輸入青果を中心に取り扱っており、バナナの国内シェアは全体の約1割を占めています。

ANAフーズ株式会社:事業紹介 | 生鮮食品事業

バナナは追熟・カット・パック詰めといった加工工程のなかで、傷んだ果実や端材などの食品残渣が一定量発生します。これらの残渣は、これまで主に廃棄処理されてきました。

近年、食品商社や食品加工事業者には、食品リサイクル法に基づく再生利用に加え、温室効果ガス削減への対応も求められています。

食品残渣をそのまま廃棄すると、処理コストやCO₂排出が生じますが、メタン発酵などによりエネルギーとして回収できれば、コスト削減と環境負荷低減の両面で効果が期待できます。

食品商社にとって、調達から販売までのサプライチェーン全体で環境に配慮することは、取引先や消費者からの評価にも直結する経営課題となっています。

資源循環モデル 4社の役割分担

今回の資源循環モデルは、それぞれの専門分野を担う4社の連携によって成り立っています。

  • ANAフーズ:札幌支店のバナナ加工残渣を排出(資源循環の起点)
  • J&T環境:収集運搬の調整など、全体のコーディネートを担当
  • 札幌バイオフードリサイクル:メタン発酵によるバイオガス発電を実施
  • アーバンエナジー:発電した電力を買い取り、ANAフーズ札幌支店へ供給

J&T環境、札幌バイオフードリサイクル、新電力事業のアーバンエナジーは、いずれもJFEエンジニアリンググループに属しています。

発電を担う札幌バイオフードリサイクルは、食品廃棄物を原料とする北海道最大規模のバイオガス発電施設で、1日最大100トンの食品廃棄物を受け入れ、メタンガスを燃料に発電します。

参考記事:食品廃棄物で発電「札幌バイオフードリサイクル」運営開始

アーバンエナジーの創電割で札幌支店に電力供給

アーバンエナジーの創電割で電力供給

このモデルの要となるのが、アーバンエナジーの「創電割®」というサービスです。

創電割は、廃棄物から発電された電力をアーバンエナジーが買い取り、その廃棄物を排出した施設へ電力を供給する際、排出量に応じて電力料金を割り引く仕組みです。

アーバンエナジー株式会社:創電割

ANAフーズの事例では、札幌支店から出たバナナ残渣がメタン発酵によって電力に変わり、その電力をアーバンエナジーが買い取ります。

その後、北海道電力ネットワークの送配電網を通じて、同じANAフーズ札幌支店へ供給されます。

これによって、札幌支店で使用する電力の一部を、実質的に自社のバナナ残渣由来の再生可能エネルギーでまかなう循環が成立します。

さらに、残渣の排出量が多いほど電力料金の割引額も大きくなるため、食品廃棄物の資源循環に取り組む経済的な動機が生まれます。

項目内容
運用開始2026年4月
対象残渣ANAフーズ札幌支店のバナナ加工残渣の一部
発電方式メタン発酵によるバイオガス発電
発電施設札幌バイオフードリサイクル(食品系で北海道最大規模)
電力供給アーバンエナジー「創電割®」を通じて札幌支店へ
送配電網北海道電力ネットワーク

従来のリサイクル・再エネ調達との違い

食品残渣の活用方法には、肥料化(堆肥化)や飼料化といった選択肢もありますが、バイオガス発電の強みは、発酵後に残る消化液や残渣を、肥料として活用できる点にあります。

また、この仕組みは、単に再生可能エネルギー由来の電力メニューを契約する場合とも異なります。

創電割は「自社の廃棄物が自社で使う電力として戻ってくる」ことが可視化される循環モデルのため、CO₂排出削減への取り組みを説明しやすい点が特徴です。

JFEグループは、こうしたスキームをホテルや外食チェーンなどで展開しており、今回の事例は、その適用先を食品商社・青果分野へ広げた事例と位置づけられます。

食品廃棄物の資源化で脱炭素と経済性を両立

あきんどスシローやアレフ(びっくりドンキー)などの外食大手は、JFEエンジニアリンググループと提携し、食品リサイクルの一環としてバイオガス発電を行っています。

参考記事:JFEと外食4社がフードロス発電で連携 食品廃棄物でメタン発酵

ANAフーズの取り組みは、外食チェーンの食べ残し回収を中心に進んできたフードロス発電が、輸入青果・食品商社という上流の事業者にまで広がりつつあることを示しています。

ANAフーズは札幌支店を食品リサイクルの起点と位置づけており、対象品目や拠点の拡大が進むにつれ、資源循環の規模も大きくなる可能性があります。

食品事業者は食品リサイクル法により、食品残渣の再生利用が求められています。廃棄物をエネルギー資源として循環させるこのモデルは、脱炭素と経済性を両立させる選択肢として期待されます。

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