カナデビアの欧州100%子会社であるカナデビアイノバ(Kanadevia Inova AG)が、英国で新たにバイオガスプラントを2件買収したと発表しました。
カナデビアイノバは欧州バイオメタン市場の成長を見込んでおり、同社が進める脱炭素化投資の一環として、イングランド北部のWardleyと、イングランド中西部のLower Draytonを買収しました。
この買収により、保有するバイオガスプラントは英・蘭・瑞・伊の4カ国、合計17施設となります。
カナデビア ニュースリリース:Kanadevia Inova、英国で新たに2つのバイオガスプラントを買収
英国バイオガスプラント2施設の概要
今回取得した英国のバイオガスプラント2施設は、それぞれ異なる特徴を持っています。
Wardleyは食品廃棄物の処理を専門としたプラントで、年間最大80,000トンの処理能力があります。一方のLower Draytonは、家畜糞尿や農業残渣を年間最大60,000トン処理することが可能です。
| プラント | 所在地 | 主原料 | 処理能力(最大) | バイオメタン供給 |
|---|---|---|---|---|
| Wardley | タイン・アンド・ウィア州ゲーツヘッド | 食品廃棄物 | 80,000 t/年 | 英ガス網へ注入 |
| Lower Drayton | スタッフォードシャー | 農業残渣(家畜ふん尿・作物残さ) | 60,000 t/年 | 英ガス網へ注入 |
どちらも生成したバイオメタンをガス網に供給しており、英国政府が再生可能エネルギーによる熱導入を奨励するために制定した再生可能ヒートインセンティブ(RHI=Renewable Heat Incentive)に認定されています。
英国 再生可能ヒートインセンティブ(RHI)とは
再生可能ヒートインセンティブ(RHI)とは、再生可能エネルギーによる熱生産に対して、英国政府が長期間のインセンティブを提供する制度です。
RHIは家庭部門と、企業・自治体・非営利などが対象の非家庭部門があり、家庭部門は最長7年、非家庭部門は四半期ごとに最長20年間のインセンティブを受けることができます。
バイオガスプラントの場合、Ofgem(英エネルギー規制当局)が設備・事業を審査して認定し、ガスグリッドに注入したバイオメタン量に応じてRHIが支払われます。
新規申請はすでに終了していますが、バイオメタン向けの後継制度として「Green Gas Support Scheme(GGSS)」が新設されました。
今回買収した2施設は英国政府のRHI認定を受けており、収益性と持続可能性を確保しています。
カナデビア 買収による欧州バイオガス事業拡大
カナデビアは2014年にスイスの電力大手 Axpo グループから、乾式メタン発酵技術「Kompogas®(コンポガス)」を買収し、ヨーロッパでバイオガス事業に参入しました。
その後、カナデビアイノバはヨーロッパで以下の企業買収を行い、バイオガス事業を拡大しています。
- 2015年:ドイツのバイオメタン事業会社「MT-BioMethan GmbH(HZI BioMethan)」
- 2021年:ドイツのSchmackグループから湿式メタン発酵技術
- 2024年:イタリアのバイオガス企業「Schmack Biogas Srl(現Kanadevia Inova Schmack Biogas Srl)」
- 2025年:オランダのバイオメタン事業会社「Groengas Cothen B.V.」
- 2025年:英国のバイオガス企業「Iona Capital Ltd.」とグループ3社
不安定なEPCから安定のBOOへ 収益基盤の確立
エンジニアリング企業にとって、プラント建設(EPC)は売上規模が大きい一方で、受注動向によって業績が変動しやすいという課題があります。
カナデビアグループは不安定なEPC事業から脱却し、プラントのBOO(建設・保有・運営)、資産管理までを一貫して手掛けることで、安定的かつ継続的な収益基盤の確立を目指しています。
今回の英国バイオガスプラント2施設の買収によって、カナデビアイノバが所有するバイオガスプラントは計17施設となり、安定的な収益基盤の確立をさらに進めます。
参考記事:カナデビアが英バイオガス大手を買収 欧州バイオガス事業を拡大
拡大するヨーロッパのバイオガス需要を取り込む
ヨーロッパ諸国では、2022年5月にEUが発表した再生可能エネルギー利用計画「REPowerEU」などの後押しもあり、ロシア産天然ガスの代替となるバイオガスの需要が高まっています。
REPowerEU計画には、2030年までに350億立方メートルのバイオメタンを生産するという目標が含まれており、5,000基のプラント新設と約800億ユーロ(約14兆円)の資本投資が必要になると予想されています。
また、世界のバイオガス市場も今後10年間に渡って、年平均成長率(CAGR)で約4%〜8%の範囲で堅調に成長すると予測されています。
カナデビアは子会社のKanadevia Inovaを通じた買収戦略によって、拡大するバイオガス需要を取り込み、ヨーロッパや北米を中心にバイオガス事業を拡大する方針です。






