画像:INPEX事業案内より
石油・天然ガス開発企業のINPEXが、新潟県長岡市のINPEX越路原プラントで、CO₂メタネーションの実用化を目指した実証試験を実施します。
INPEX ニュースリリース:世界最大級のメタネーションによる CO₂排出削減・有効利用実用化技術開発事業における試験設備の建設開始について
INPEXは再生可能エネルギーやメタネーション事業にも取り組んでおり、2026年2月24日に、世界最大級となるCO₂メタネーション試験設備の実証運転を開始したと発表しました。
バイオガステック参考記事:INPEXと大阪ガスが世界最大級メタネーション実証運転を開始 パイプライン注入も実施
INPEXメタネーション事業の概要
この事業は、都市ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO₂メタネーションシステムの実用化を目指しており、大阪ガスとの共同で技術開発を行っています。
- 事業期間:2021〜2026年度(6年間)
- 総事業費:100億円 (うち助成金70億円)
- 目標:2035年頃に製造事業規模60,000Nm³/h(年間36万トン)の生産開始
2023年に千代田化工建設とEPC契約を結び、長岡市の越路原プラントで家庭用1万戸分に相当する400Nm³-CO₂/hの試験設備の建設が進んでいます。
千代田化工建設株式会社:CO₂メタネーション試験設備
メタネーション反応器パッケージの工事は、Daigasガスアンドパワーソリューション株式会社が実施しています。すでに2023年より設備の試運転を開始しており、2025年に実証試験を実施します。
お知らせ:株式会社INPEX向け400Nm3-CO₂/h メタネーション試験設備の反応器パッケージ工事受注について
この事業は、NEDOに採択された助成事業「大規模なCO₂-メタネーションシステムを用いた導管注入の実用化技術開発」のもとで進められています。

画像:NEDOメタネーション研究開発資料より
メタネーション研究開発項目
- 触媒による CO₂-メタネーション反応の挙動把握を目的とした、反応シミュレーション技術開発
- プロセスの基本性能や触媒の長期耐久性等の評価・確立を目的とした、大規模CO₂-メタネーション反応プロセス技術開発
- 商用スケールへの大型化、適用性や経済性等の評価を目的とした、反応システムのスケールアップ等適用性検討
NEDO (PDF):「カーボンリサイクル・次世代⽕⼒発電等技術開発/⑨CO₂排出削減・有効利⽤実⽤化技術開発/4)気体燃料へのCO₂利⽤の研究開発」
CO₂メタネーションとは
メタネーションとは、二酸化炭素(CO₂)と水素(H₂)を化学反応させて、メタン(CH₄)を生成する技術です。
温室効果ガスであるCO₂を再利用して、排出量の削減と新たなエネルギー源の創出を同時に実現することができるため、INPEXなどの各企業がメタネーション技術の開発を進めています。
メタネーション解説:メタネーションとは? その仕組みやデメリット・企業の実用化
再生可能エネルギー由来の電力から生成された「グリーン水素」を利用するメタネーションは、「合成メタン」や「e-メタン」とも呼ばれ、ガスインフラをそのまま利用できるという利点があります。
メタネーション技術は、火力発電所の燃料転換や都市ガスへの導入など、幅広い分野での活用が期待されており、経済産業省が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に不可欠な技術となります。
INPEXの国内最大級メタネーション実証プラント
INPEXが新潟県長岡市で実施している実証事業は、NEDOの助成事業のもとで国内最大級のメタネーションプラントを建設し、商業化に向けた技術的・経済的課題の解決を目指しています。
メタネーションプラントで製造した合成メタン(e-methane)は都市ガスとして利用するほか、導管注入による輸送・供給など、実用化に向けた検証が行われます。
このプロジェクトの重要なポイントは、「実ガス環境下での検証」です。実際に都市ガス製造設備から供給されるCO₂を使用し、プラントの操業安定性や生成される合成メタンの品質を実証レベルで検証します。
また、プラントの設計から建設、運転に至るまで国産技術を活用しており、日本のエネルギー技術の国際競争力強化にも貢献しています。
以下からINPEX長岡鉱場CO₂メタネーション施設のバーチャルツアーにアクセスできます。施設の全貌や仕組みを視覚的に理解できるので、ぜひ体験してみてください。
INPEX長岡 VRツアー:NEDO-CO2有効利用技術開発事業 長岡鉱場CO2メタネーション施設 バーチャルツアー
メタネーション技術の課題とその解決策
メタネーションの普及にはいくつかの課題があり、その一つが合成メタン(e-メタン)製造のコストです。
e-メタンは天然ガスよりも製造コストが高く、経済的なインセンティブがなければ普及は難しいとされ、INPEXは製造プロセスの効率化やプラントのスケールアップによって、コスト削減を目指しています。
もう一つの課題は、メタネーションのエネルギー効率です。メタネーションの過程では、水素製造に大量の電力が消費されるため、いかに効率よく合成メタンを製造するかが重要となります。
INPEXは高効率な触媒の開発や最適なプロセス設計を通じて、この課題を克服しようとしており、将来的なメタネーション技術の商業化と社会実装を見据えた、戦略的なアプローチと言えます。
また、都市ガス分野では2030年に都市ガスの1%を合成メタンに置き換え、将来的には天然ガスの大部分をe-メタンに代替する計画が立てられています。
INPEXはこの目標達成に向けて、e-メタンの供給技術を確立することで、カーボンニュートラルに重要な役割を果たすことが期待されています。
メタネーションと水素への期待
INPEXは国内外のパートナー企業や研究機関と連携し、メタネーション技術の開発を進めることで、主軸となる化石燃料事業から新たなエネルギー事業モデルへの転換を目指しています。
また、INPEXはこの実証事業を通じて、CO₂メタネーションだけでなく、再生可能エネルギー由来の水素を安定的に製造・供給するサプライチェーンの構築も期待されています。
INPEXの取り組みは、日本のエネルギー産業の未来を担い、エネルギー安全保障にも寄与する可能性を秘めています。






