JFEエンジニアリングがインド初の廃棄物発電事業へ参入

JFEエンジニアリングがインド初の廃棄物発電事業へ参入

JFEエンジニアリングは2026年4月10日、インド企業への出資を通じ、アンドラ・プラデーシュ州で廃棄物発電(WtE:Waste to Energy)事業に参入すると発表しました。

JFEエンジニアリング株式会社:インド共和国 廃棄物発電事業への出資・事業参画 ~国内建設・エンジニアリング業界初!成長著しいインド廃棄物処理市場への参入~

同社はインドの大手廃棄物処理会社 Antony Waste Handling Cell(AWHCL)の子会社が設立した2社に25%出資し、インドでコンセッション事業に参入します。

日本の建設・エンジニアリング会社が、インドの廃棄物発電事業へ直接投資・事業参画するのは初のケースとなり、長期的にはバイオガス分野との連携も期待されます。

インドの廃棄物処理危機と急拡大するWtE市場

インドの廃棄物処理危機と急拡大するWtE市場

インドでは、都市化と人口増加に伴う廃棄物処理が、深刻な社会課題となっています。

NITI Aayog(インド政府系シンクタンク)の試算では、都市部の都市ごみ(MSW)発生量は年間約6,200万トンに達し、2030年には1億6,500万トン、2050年には4億3,600万トンに膨らむと予測されています。

一方、インド全土で稼働するWtE施設は、2025年時点でも14基・合計発電容量202MW程度にとどまり、処理能力は需要に追いついていません。

こうした中、モディ政権下の「Swachh Bharat Mission(クリーン・インディア・ミッション)」を背景としたWtE推進策により、民間事業者が相次いで参入しています。

Ministry of Housing and Urban Affairs(MoHUA):Swachh Bharat Mission – SBM Urban 2.0

とくに焼却型WtEは、レガシーごみ(堆積ごみ)処理と発電を同時に解決する手段として注目されており、州政府のコンセッション方式により、民間に20年程度の長期運営を委ねる事例が増加しています。

JFEエンジニアリングのインド廃棄物発電参画概要

今回、JFEエンジニアリングが25%出資するのは、AWHCLの孫会社にあたるKadapa Renew Energy Pvt. Ltd.(カダパ)と、Kurnool Renew Energy Pvt. Ltd.(クルヌール)の2社です。

両社はそれぞれアンドラ・プラデーシュ州カダパ市・クルヌール市に廃棄物発電プラントを建設します。

各プラントは一般廃棄物を日量最大1,000トン受け入れ、うち750トンを焼却処理し、発電出力15MWを電力会社APSPDCL(アンドラ・プラデーシュ州南部配電会社)に売電する計画です。

アンドラ・プラデーシュ州では、州内の既存2カ所に加え、新設6カ所以上のWtE施設整備を目指しており、すべて完成すると州全体で日量7,000〜7,500トンの処理能力を実現できます。

事業スキームと20年コンセッション契約の意義

JFEエンジニアリングとAWHCLは、州営公社Swachh Andhra Corporation(SAC)などとの間で、20年間の廃棄物処理コンセッション契約を締結しました。

コンセッション方式とは、政府または地方自治体が土地・建物の所有権を保持したまま、公共インフラの資金調達・建設・運営・維持管理を一定期間、民間企業に委託する方式です。

長期にわたる安定収入が見込めるため、企業にとって投資回収のリスクを抑えやすい構造といえます。

JFEエンジニアリングの出資額は、カダパとクルヌール合計で7億5,000万円(資本比率25%)、残り75%はAWHCL系列の子会社 Antony Lara Enviro Solutions Pvt. Ltd. が保有します。

Antony Waste Handling Cell Limited(AWHCL)の概要

パートナーのAntony Waste Handling Cell Limited(AWHCL)は、インド都市ごみ管理業界最大手の一角として、20年以上に渡りごみの「収集・運搬・処理・処分」まで一貫したサービスを提供しています。

Antony Waste:Antony Waste Handling Cell Limited

従業員数は1万人を超え、ムンバイ(BMC)、グレーターノイダ、ジャーンシー、ナグプール、ナーシクなど、主要都市自治体の案件を多数受託しています。

今回の廃棄物発電(WtE)プロジェクト2件の事業規模は、20年間のコンセッション(事業運営権)期間で、合計約320億ルピー(約570億円)にのぼります。

ベトナム事業との違いとJFEのごみ焼却技術

JFEエンジニアリングは、2021年12月にベトナムで地場リサイクル企業との合弁会社「T&Jグリーンエナジー」を設立したと発表し、WtE事業に参入しています。

ベトナムで運営する施設は、環境省の二国間クレジット制度(JCM)設備補助事業にも採択されています。

JFEエンジニアリング ニュースリリース:ベトナム国で大型廃棄物発電事業に参画 ~事業計画から建設・運転までトータルプロデュース~

今回のインド案件は、ベトナムに続く海外2カ国目の事業ですが、規模と仕組みが大幅に強化されました。

インドの新プラントは、1箇所あたり日量1,000トン(うち焼却750トン)・出力15MWに達し、ベトナムの施設の約1.5〜2倍という大規模な処理能力を備えています。

インドの都市ごみは水分が40〜50%と高く熱量が低いため、従来の欧米仕様の技術ではそのまま対応するのが困難とされてきました。

しかし、JFEの焼却炉はごみの状態が変わっても安定して燃やせるため、この高い技術力が評価されて今回のEPC(設計・調達・建設)受注に至りました。

ベトナムとインド事業の概要

項目ベトナム案件インド案件
稼働年2024年2028/2029年度予定
処理量/プラント500トン/日1,000トン/日(焼却750トン)
発電出力11.6MW15MW×2基
JFE出資比率合弁出資25%
契約形態DBO方式20年コンセッション

日印共同ビジョンとインド事業の展開

今回の出資は、2025年に日印両政府が合意した「今後10年に向けた日印共同ビジョン:特別戦略的グローバル・パートナーシップの8つの指針」の枠組みに沿った動きとして注目されています。

同ビジョンは、インドの重点分野に対する日本からの投資額を10年間で10兆円とすることを目標に掲げており、廃棄物処理・再生可能エネルギー分野は、8つの指針の中に含まれています。

日本企業がインドのコンセッション型(公共インフラの運営権を民間が持つ仕組み)事業に20年もの長期で参画する本案件は、環境インフラ輸出の新しいモデルケースとなります。

また、JFEエンジニアリングは、今後インド国内だけでなく、周辺国への展開も視野に入れています。


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