再生可能ガス(バイオメタン、e-メタン、BioLNG)に関する国際会議「Renewable Gas Markets Asia 2026」が、2026年5月19日~20日に東京で開催されます。
CMT:Renewable Gas Markets Asia 2026-Tokyo
この会議では、化石天然ガスに代わる低炭素ガスとして、バイオメタン、e-メタン(合成メタン)、BioLNGを取り上げており、政策目標の達成から物理的供給の実装へ移行させるための論点を議論します。
主催はエネルギー分野の国際会議を25年以上にわたり運営してきた Centre for Management Technology(CMT)で、東京開催は初となります。
東京初開催の背景 日本・アジア再生可能ガス市場の成長
この会議が東京で初開催される背景として、アジア太平洋地域での脱炭素ガス需要の成長と、「2050年カーボンニュートラル」に向けた日本の政策推進があります。
東南アジアや中国、インドなどのアジア諸国では、経済成長に伴う廃棄物増加とエネルギー需要の拡大が深刻な課題となっています。
これに対し、バイオガスを精製して天然ガス代替とするバイオメタン(RNG)は、既存のガスインフラを活用できる低コストの脱炭素ソリューションとして期待されています。
また、日本政府はGX基本方針で、e-メタン(合成メタン)やバイオメタンの導入を促進し、既存の都市ガス導管ネットワークのクリーン化を急いでいます。
この目標は法制度面でも具体化しつつあり、都市ガス事業者に対する調達義務化と、LNGとの価格差を託送料金原価に含める仕組みが整備されつつあります。
しかし、ガス事業者の自助努力だけで再生可能ガスを調達することは現実的に困難であり、海外からのe-メタン・BioLNG調達が不可欠となります。
こうした再生可能ガスの国際サプライチェーンを「誰が・どの認証で・どう価格転嫁するか」という論点が、今回の中心テーマとして設定されています。
Renewable Gas Markets Asia 2026の概要
- 日程: 2026年5月19日(火)~ 20日(水)
- 開催場所: 東京マリオットホテル
- 住所: 東京都品川区北品川4-7-36(JR品川駅から徒歩約10分)
- 主催者: Centre for Management Technology(CMT)
- ウェブサイト: Renewable Gas Markets Asia 2026
- 登壇者: About our Event Speakers
- スケジュール: Summit Schedule
Renewable Gas Markets Asia 2026 議題の要点
- 日本およびアジア太平洋における政策・調達シグナル:インセンティブ、義務化、規制および推進要因
- カーボン会計、認証および市場の健全性
- バイオメタンおよび合成メタン(e-メタン)のグローバル供給ルート
- バイオガス/バイオメタンにおける原料、廃棄物管理、循環性
- BioLNGの物流およびインフラ
- 再生可能メタンによる産業および輸送分野の脱炭素化
- 技術導入とスケーラビリティ
- ファイナンスプロジェクト:課題、リスク、機会
会議の論点 導入目標から物理的供給へ
今回の会議では、政策目標を「調達・輸送・大規模利用が可能なバイオメタンおよびe-メタンを、実体ある供給へと転換する」という点が論議になります。
登壇対象として、政策立案者、公益事業者(都市ガス・パイプライン・発電事業者)、バイヤー、開発事業者、トレーダー、技術提供者、インフラ所有者などが挙げられ、バリューチェーン全体に及んでいます。
バイオメタン・e-メタン・BioLNGを束ねる市場設計
この会議では、バイオメタンやe-メタン(水素・CO₂合成由来)、およびBioLNG(バイオメタンを液化したもの)を、同一の「低炭素ガス市場」として議論する予定です。
また、供給源の多様化と需要側セクター(発電、産業熱、陸上・海上輸送)のマッチングも重視されています。
BioLNGは、欧州で陸上輸送(HDV)や、海運の脱炭素燃料として市場形成が進んでいますが、アジアでのオフテイク構造は未成熟です。
カーボン会計と認証フレームワークの国際協調
もう一つの重要論点となるのが、カーボン会計と認証フレームワークの国際協調です。
e-メタンは燃焼時にCO₂を排出するため、原料CO₂の由来(産業回収 / DAC / バイオ起源)および水素の由来(グリーン / ブルー)によって、ライフサイクル評価上のCO₂排出量評価が大きく異なります。
国境をまたぐ環境価値の移転ルールが整わないままでは、海外製造e-メタンを日本で「カーボンニュートラル燃料」として認定されない恐れがあり、オフテイク契約が難しくなります。
バイオメタン・RNGの系統注入と高度精製
バイオガスを単なる発電利用から、より付加価値の高いバイオメタンへとアップグレーディングする技術が、今後の市場の主役となります。特に注目すべきは「系統注入(ガスグリッドへの注入)」技術です。
| 項目 | オンサイト発電(従来型) | バイオメタン・RNG(次世代型) |
|---|---|---|
| 主な用途 | 自社利用・FIT売電 | 都市ガス代替・輸送燃料・原料 |
| 輸送方法 | 電線 | ガス導管(系統注入)・トラック輸送 |
| エネルギー効率 | 熱電併給(CHP)で高いが距離に制限 | 長距離輸送が可能で汎用性が高い |
| 主な技術課題 | 資本費・原料調達・送電網接続 | 高純度精製(CO₂分離)・熱量調整 |
アップグレーディング技術面では、メンブレン法や化学吸収法によるCO₂分離の低コスト化が進んでいます。
メタネーション技術はアジア諸国からも高い関心を集めており、日本でも東京ガスや大阪ガス、INPEX、カナデビアやIHIなどのエンジニアリング企業が、独自の技術開発を進めています。
参考記事:日本企業のe-メタン・メタネーション技術開発と実用化事例
日本市場の独自性とJCMによるアジア諸国への展開
日本のバイオメタン市場は、北海道のような広大な農地ベースだけでなく、都市部や産業廃棄物、下水汚泥を起点とした「分散型・都市型モデル」にも強いという特徴があります。
このモデルは、急速に都市化が進むアジア諸国の都市問題解決策として、極めて親和性が高いものです。
また、日本が推進するJCM(Joint Crediting Mechanism:二国間クレジット制度)により、アジアを含む世界各国と協力して、温室効果ガスの排出削減に取り組むことが可能となっています。
参考記事:JCMで海外展開へ 日本の脱炭素・バイオガス精製技術
今後は、アジアで生産された低炭素ガスを日本企業が調達する、あるいは日本の脱炭素技術やプラントをアジアへ輸出するといった、双方向の国際連携が加速するでしょう。
Renewable Gas Markets Asia 2026は、こうした具体的なプロジェクト形成の場となることが予測されます。






