モスフードが食品廃棄物を電力に CO₂実質ゼロへ

モスフードが食品廃棄物を電力に CO₂実質ゼロへ

モスバーガーを展開するモスフードサービスが、2026年3月から食品廃棄物由来の電力を使う「CO₂実質排出量ゼロ」の電力プランを、店舗・本社関連の計12拠点へ順次導入しています。

モスフードサービス プレスリリース:食品廃棄物をエネルギーに 食品由来の電力を活用した CO₂実質排出量ゼロの電力プランを導入

この取り組みは、JFEエンジニアリンググループ各社との協業によるもので、提携物流センターや店舗から出る食品廃棄物を原料とし、バイオガス発電によって電力を供給する資源循環スキームが特徴です。

モスバーガーが食品廃棄物由来の電力を導入

モスグループでは、食品廃棄物をメタン発酵によって電力へ転換することで、計12拠点の使用電力にかかる年間約670トンのCO₂排出量を実質ゼロにします。

この資源循環スキームは単なる再エネ調達ではなく、自社の廃棄物をバイオガス発電によって電力供給する点が、従来の脱炭素施策との違いです。

外食産業で最も低い食品リサイクル率

外食産業特有の構造的な課題として、低い食品リサイクル率があります。農林水産省によれば、令和4年度の食品ロスは472万トンで、うち事業系は236万トンに上ります。

さらに食品リサイクル法に基づく再生利用等実施率を業種別に見ると、外食産業の低さが際立ちます。

業種再生利用等実施率(実績)目標値
食品製造業約96%95%
食品卸売業約70%75%
食品小売業約55%60%
外食産業約35%50%

農林水産省:令和3年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率(推計値)

食品廃棄物からエネルギーを生み出す電力リサイクルループ

食品廃棄物を電力に 電力リサイクルループの仕組み

この取り組みは、食品廃棄物の排出元に電気を戻す「電力リサイクルループ」が中核となります。

  • モスの提携物流センターや一部店舗から食品廃棄物を回収
  • Jバイオフードリサイクルの横浜工場でメタン発酵し、バイオガス発電で電力化
  • 新電力のアーバンエナジーがその電力を買い取り
  • モスグループの店舗等に、実質100%再エネ電力として供給

食品廃棄物は油分・塩分・包装の混入が多く、飼料化や肥料化などには不向きですが、他の原料と比べてバイオガス発生量が多い点がメリットで、処理プロセスを密閉すれば臭気も抑制できます。

Jバイオフードリサイクルで食品バイオガス発電

処理を担うJバイオフードリサイクルは、JFEグループとJR東日本グループが2016年に設立した食品リサイクル・バイオガス発電事業者で、2018年から横浜工場を稼働しています。

横浜工場では日量約120トンの食品廃棄物を受け入れ、発電出力1,800kW、年間想定発電量は約17,000MWh(一般家庭約5,700世帯分)に達します。

JFEエンジニアリンググループは、食品廃棄物リサイクルを積極的に手掛けており、外食各社と提携して食品廃棄物を原料とするバイオガス発電を行っています。

参考記事:JFEエンジニアリングと外食4社が食品廃棄物のバイオガス発電で提携

また、北海道では道内最大の食品バイオガス発電施設「札幌バイオフードリサイクル」を運営しており、産業廃棄物となる食品廃棄物も受け入れています。

参考記事:食品廃棄物で発電「札幌バイオフードリサイクル」運営開始

CO₂実質ゼロの再エネ電気供給

発電した電気はアーバンエナジーが買い取り、再生可能エネルギー指定の非化石証書を組み合わせた「ゼロエミプラン」によって、調整後CO₂排出係数を実質ゼロにしています。

加えて、廃棄物量に応じて電力料金を割り引く独自のサービス「創電割」が適用されます。

食品廃棄物と電力供給の資源循環スキームによって、廃棄物やCO₂の削減、電力コストの抑制が同時に可能となるため、環境意識の高い外食事業者にとって、導入の後押しになります。

外食チェーンの脱炭素モデル

農林水産省は2025年3月の新基本方針で、2029年度までに外食産業の再生利用等実施率について、50%を達成するという目標を掲げました。

農林水産省:食品廃棄物等の再生利用等の目標について

実施率が最も低い外食領域で、モスフードサービスのような全国チェーンが循環モデルを展開すれば、業界全体の底上げに直結します。

モスフードサービスが電力プランを導入したのは、現時点で12拠点に留まりますが、今後は対象拠点の拡大や、発酵残さの肥料化を含む農業リサイクルループへの発展も期待されます。

今回の事例は、外食産業の脱炭素を調達から資源循環に転換する、一つの実装例として位置づけられます。


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