世界各地で開催されるバイオガス・バイオメタン分野の展示会は、最新技術や業界の動向、その地域の政策を知る上で欠かせないイベントです。
また、脱炭素政策やエネルギー安全保障の強化を背景に、バイオガスやバイオメタンへの投資が世界的に拡大しており、展示会も政策・投資・商談を兼ねた戦略的プラットフォームへと進化しています。
この記事では、欧州・北米・アジアで開催される主要なバイオガス・バイオメタン展示会を取り上げ、各イベントの特徴や参加者層、注目分野を紹介します。
World Biogas Expo(英国)
World Biogas Expoは、嫌気性消化(AD)とバイオガス分野に特化した世界最大級の国際専門展示会です。
2010年の初開催以来、英国・バーミンガムで世界中のバイオガス関係者が集まる中核イベントとして発展してきました。
公式サイト: The World Biogas Expo 2026 hosted by ADBA and WBA
World Biogas Expoの特徴
World Biogas Expoは「世界唯一、嫌気性消化とバイオガスのみに焦点を絞った国際トレードショー」を標榜しており、再生可能ガスの最新技術や、ソリューション・政策動向を集約する場となっています。
また、属性別の食事会やミーティングなど、ネットワーキング機会が豊富に用意されているのもWorld Biogas Expoの特徴で、展示会初日に業界の優れた取り組みを表彰するディナーも開催されます。
- Farmers Breakfast(農業者向け朝食会)
- Local Authorities Lunch(自治体向けランチ)
- 各国バイオガス協会の円卓会議(Biogas National Associations Roundtable)
- WBA会員ミーティング
2026年のEXPOでは、新たに農業向け特設プログラムが導入される予定で、農業由来のフィードストックや消化液利用など、農業者の参画拡大に向けた取り組みが強化されます。
2025年は101名のスピーカーが登壇し、技術専門家から商業リーダーまで、多様な視点が共有されました。
World Biogas Expoの参加者・展示内容の傾向
バイオガスのバリューチェーン全体をカバーする総合的な展示会であり、世界各国からプラント運営者、技術ベンダー、EPC、コンサルタント、政策立案者、投資家、研究者、自治体担当者などが集まります。
会場には100以上のブースがあり、嫌気性消化槽・発酵槽、攪拌装置、ガスアップグレード装置、CHP発電機、フィードストック処理機器、ガス分析・計測システムなどを展示しています。
また、消化液利活用ソリューションやファイナンス・コンサルティングサービスなど、バイオガスやバイオメタンに関する技術や商材、関連分野も幅広くカバーしています。
会場には世界各地から数千人の来場者が訪れ、パビリオン規模での国際色も年々強まっています。
World Biogas Expoの情報
主催者
Anaerobic Digestion & Bioresources Association(ADBA / 嫌気性消化・生物資源協会)
World Biogas Association(WBA / 世界バイオガス協会)
開催場所
英国・バーミンガムのNational Exhibition Centre (NEC)を定会場として開催
開催時期(2026年)
2026年7月8日(水)〜7月9日(木) ※ 例年7月に開催(変更もあり)
BIOGAS Convention & Trade Fair (ドイツ)
BIOGAS Convention & Trade Fairは、欧州を代表するバイオガス専門の展示会で、最先端の技術やトレンドを把握できる重要なイベントです。
バイオガス産業における世界最大級の国際見本市・カンファレンスとされ、企業、プラント運営者、研究者、政策決定者の間の中心的な交流プラットフォームとして機能しています
BIOGAS Convention:BIOGAS Convention — 25–26 November 2026 in Kassel
BIOGAS Convention & Trade Fairの特徴
BIOGAS Conventionは単なる展示会ではなく、展示会+カンファレンス+業界総会が一体化したハイブリッド型イベントであることが特徴です。
期間中は展示会、カンファレンス、出展者フォーラム、夜のネットワーキングイベントの他に、ドイツバイオガス協会の総会・委員会なども開催されます。
カンファレンスではその年のテーマに合わせて、ドイツ連邦政府のエネルギー政策担当者、EU政策関係者、ドイツバイオガス協会幹部、主要プラントメーカー、研究機関の専門家などが発表します。
2025年はドイツ政権交代による政策転換が焦点となり、Biomass PackageやEEG(再生可能エネルギー法)規制の動向が論議されました。
また、リバーシブル燃料電池やCO₂アカウンティング、モバイル基質ソリューションなどの新技術も取り上げられています。
BIOGAS Conventionの参加者・展示内容の傾向
2025年は263社が出展、来場者・カンファレンス参加者は合わせて7,300名を記録しました。出展者は32か国から集まり、現場、企業、科学、行政、政治の各分野の専門家が集う一大イベントになっています。
ビジネス商談に直結するイベントとしても知られ、2023年実績では来場者の88%が自社における調達・購買の意思決定者であり、出展者の92%が新規コンタクトを獲得しています。
展示はバイオガスプラントの設計・施工(プロジェクト開発からターンキー納入まで)や、発酵槽、計量・秤量機器、ポンプ、制御システム、建材・断熱材、発電設備など、原料から設備全般に及びます。
BIOGAS Conventionの情報
主催者
Fachverband Biogas e.V.(ドイツバイオガス協会)
DLG e.V.(共催)
開催場所
2026年はドイツ・ヘッセン州カッセル(Kassel)で開催される予定です。国際分散型エネルギー展「EnergyDecentral 2026」は、11月10〜13日に別途ハノーバーで開催されます。
EnergyDecentral:EnergyDecentral 2026
基本的に、奇数年はニュルンベルクで単独開催され、偶数年は会議「BIOGAS Convention」をカッセル、展示会「EnergyDecentral」をハノーバーで別々に開催します。
開催時期(2026年)
2026年11月25〜26日 ※ 例年11月下旬〜12月上旬に開催
Biogas Americas(アメリカ)
BIOGAS Americasは米国バイオガス産業最大のイベントで、アメリカバイオガス協会(ABC, American Biogas Council)の年次総会も兼ねています。
2025年はデンバー(コロラド州)で開催され、北米最大のバイオガス・RNG展示会として2,000名超が来場し、4年連続で来場記録を更新しています。
BIOGAS AMERICAS:BIOGAS AMERICAS 2026
北米の商業案件と政策(RINクレジット、低炭素燃料基準・LCFS、45Z税制)が直結して議論される場でもあり、RNGやバイオメタンの商業利用が進む米国市場を理解するうえで欠かせないイベントです。
Biogas Americasの特徴
このイベントは「教育・ネットワーキング・ビジネス開発」の三位一体型であることが特徴です。
プロジェクト開発者や技術プロバイダー、プラントオペレーター、投資家、政策立案者、サービスプロバイダーが一堂に会し、教育、ネットワーキング、実プロジェクト開発について議論します。
また、展示会の他に、ゴルフオープン、展示ホールのハッピーアワー、バイオガスビアフェスト、女性向けランチョン、消化槽ツアーといったユニークなネットワーキングプログラムが用意されています。
Biogas Americasの参加者・展示内容の傾向
米国・カナダを中心に、世界各国からバイオガス関係者が集うイベントで、2023年は30カ国から1,500名・150社が参加しています。
2026年はデトロイトでの開催となり、300社超の出展者が35,000平方フィートの展示スペースに集結し、50名超の専門家による10のセッションプログラムが予定されています。
セッションはRNGオフテイク市場の動向や、埋立地ガスのRNG転換戦略、農業由来バイオガスの政策フレームワークなど、実務直結のテーマが中心です。
また、45Z税制やRIN/LCFSの話題など、北米地域にまつわる規制・市場テーマも論点となっています。
Biogas Americasの情報
主催者
American Biogas Council(アメリカバイオガス協会・ABC)
開催場所
開催地は毎年アメリカの各都市持ち回りとなり、2026年はデトロイトのHuntington Place Convention Centerで開催されます。過去の開催地は以下の通りです。
- 2022年:ラスベガス(ネバダ州)
- 2023年:シカゴ(イリノイ州)
- 2024年:サバンナ(ジョージア州)
- 2025年:デンバー(コロラド州)
開催時期(2026年)
2026年5月18〜21日 ※ 例年4〜5月に開催
Bio360 Expo(フランス)
Bio360 Expo(旧 Biogaz Europe)は、バイオエネルギーとバイオエコノミーに特化したヨーロッパの代表的な国際展示会・カンファレンスで、フランスのナント(Nantes)で毎年開催されます。
バイオガス・バイオメタンを中核とし、バイオガス、バイオメタン、固形バイオマス、バイオケミカル、バイオ炭(Biochar)など、バイオエコノミーと脱炭素化技術を広くカバーしています。
Bio360 Europe:Bio360: The Bioenergy and Bioeconomy Event
Bio360 Expoの特徴
このイベントは、展示会・国際カンファレンス・イノベーション競技会・スタディツアーを組み合わせた複合型である点が特徴です。
展示と並行して、革新的な技術やソリューションの表彰や、バイオガス施設・木質バイオマス施設を訪問するスタディツアーも用意され、技術・政策・ビジネス・現場視察を一度に体験できる設計となっています。
会場は12,000㎡規模の展示ホールで構成され、複数の並行カンファレンストラックが設けられ、英語・フランス語の同時通訳が提供されます。
ヨーロッパの各国政策(REPowerEU、Renewable Energy Directive III、Fit for 55、メタン規制等)の影響を直接議論する場でもあり、欧州の動向を知る上で重要なイベントです。
Bio360 Expoの参加者・展示内容の傾向
フランス・ベルギー・ドイツ・イタリア・スペイン・オランダ・北欧諸国を中心に、欧州内外から6,000名超の参加者が集い、欧州のバイオエネルギー系展示会としては最大級の一つに位置付けられています。
農家、エネルギー専門家、プロジェクト開発者、設備メーカー、エンジニアリング会社、研究機関、政策立案者・自治体関係者など、40カ国以上から450を超える出展者、200名超のスピーカーが登壇します。
Bio360 Expoの情報
主催者
BEES – BioEnergy Events and Services(フランス・リヨン)
開催場所
毎年フランス・ナントの Exponantes Le Parc / Parc des Expositions de la Beaujoireで開催されます。
開催時期(2026年)
2026年2月11〜12日(すでに終了) 2027年2月3〜4日 ※ 例年1〜2月に開催
Ecomondo(イタリア)
Ecomondo(エコモンド)は、欧州有数のグリーン技術・サーキュラーエコノミー分野の国際展示会で、イタリア・リミニで毎年11月に開催されます。
Eco(エコロジー)とMondo(世界)を組み合わせた名称が示すとおり、世界規模で環境技術と持続可能な社会を目指すプラットフォームとして位置づけられています。
Ecomondo:Ecomondo – Get into the international ecosystem of the ecological transition
Ecomondoの特徴
Ecomondoは単なる見本市ではなく、産業界、ステークホルダー、政策立案者、地方自治体、研究機関などが一堂に会し、EUの環境政策を議論する場となっている点が大きな特徴です。
Ecomondoは以下の機関と連携しており、官民・産学一体の国際フォーラムとなっています。
- 欧州委員会
- イタリア環境エネルギー安全保障省
- イタリア企業・メイドインイタリー省
- ICE(イタリア貿易投資庁)
- ANCI(全国市町村連合)
- CIB(イタリアバイオガス協会)
- CIC(イタリア堆肥化協会)
- ENEA(イタリア新技術・エネルギー・持続可能経済開発庁)
- ISPRA(イタリア環境保護研究所)
- CBE JU(欧州サーキュラーバイオベース共同事業体)
バイオガス・バイオメタン分野には、Bio-energy & Agriculture(バイオエネルギー&農業)セクターが設けられ、農業・有機廃棄物の価値化や、最新技術を学ぶことができます。
Ecomondoの参加者・展示内容の傾向
Ecomondoは2025年(第28回)の実績として、10万人以上の来場者と、1,700を超える出展者を集め、65カ国から800以上のバイヤーや代表団が参加しました。
農業廃棄物の処理や、バイオガス・バイオメタン(RNG)生成技術に関する専用の展示セクションが非常に充実しており、イタリア国内外のキープレーヤーが集結します。
展示内容は嫌気性消化プラント、バイオガス・バイオメタン製造設備、バイオガスコージェネレーション、CO₂回収、液化技術、消化液活用ソリューションなどで、バリューチェーン全体をカバーしています。
Ecomondoの情報
主催者
Italian Exhibition Group(IEG, 展示会運営会社)
開催場所
毎年イタリア・リミニのRimini Expo Centre(リミニ国際見本市会場) で開催されます。
開催時期(2026年)
2026年11月3日〜6日 ※ 例年11月に開催
BIOMASS EXPO 国際バイオマス展(日本)

「BIOMASS EXPO 国際バイオマス展」は、バイオマス燃料・発電設備・メタン発酵設備・熱利用技術など、バイオマスエネルギーに関する製品や技術が集まる国内最大規模の展示会です。
スマートエネルギーWEEK:【公式】BIOMASS EXPO バイオマス展 – 展示会概要
バイオガスに関する展示場は、再生可能エネルギー総合展の一角に設けられており、バイオガスプラントやメタン発酵設備、CHPなどが出展されています。
バイオマス展の来場者層は、発電事業者、プラントエンジニアリング企業、電力会社、農業法人、森林組合、国・地方自治体など多岐にわたり、質の高いビジネスマッチングの場として機能しています。
具体的な出展対象製品には、バイオガス発電システムやバイオガスプラント、メタン発酵設備(発酵槽・攪拌機など)、脱硫装置、脱水装置、脱臭装置、コージェネレーションシステムなどが含まれます。
会場の様子と出展内容:BIOMASS EXPO バイオマス展2026開催 バイオガス関連の見どころ
BIOMASS EXPO 国際バイオマス展の情報
主催者
RX Japan合同会社(主催)
一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会(共催)
一般社団法人日本有機資源協会(共催)
開催場所
東京ビッグサイト
開催時期
2026年3月17日〜19日(開催済み) 2027年3月24日~26日 ※ 例年3月頃に開催
Renewable Gas Markets Asia 2026(日本)
Renewable Gas Markets Asia 2026は、再生可能ガス(バイオメタン、e-メタン(合成メタン)、BioLNG)に関する国際会議で、5月19日〜20日に東京で初開催されます。
この会議のテーマは「From Policy Signals to Physical Supply(政策シグナルから物理的供給へ)」で、政策目標の達成から供給の実装へ移行させるための方策を議論します。
CMT:Renewable Gas Markets Asia 2026-Tokyo
参考記事:Renewable Gas Markets Asia 2026東京で初開催 バイオメタン・e-メタン実装へ
Renewable Gas Markets Asia 2026の特徴
この会議が東京で初開催される背景として、アジア太平洋地域での脱炭素ガス需要の成長と、「2050年カーボンニュートラル」に向けた日本の政策推進があります。
バイオメタン(RNG)は、低コストの脱炭素ソリューションとして期待されていますが、自力で調達することは難しく、海外からのe-メタン・BioLNG調達が不可欠となります。
また、国境をまたぐ環境価値の移転ルールを整備するため、カーボン会計と認証フレームワークの国際協調も重要な論点となります。
登壇対象は、政策立案者、公益事業者(都市ガス・パイプライン・発電事業者)、バイヤー、開発事業者、トレーダー、技術提供者、インフラ所有者などが挙げられ、バリューチェーン全体に及んでいます。
Renewable Gas Markets Asia 2026の情報
主催者
Centre for Management Technology(CMT)
開催場所
東京マリオットホテル
開催時期(2026年)
2026年5月19日〜20日 ※ 今回が初開催





