大阪ガスが米国産バイオメタンを調達

大阪ガス

大阪ガスが米国エネルギー会社のArchaea Energy(アーキア・エナジー)から、アメリカで生産するバイオメタンを調達すると発表しました。

米国子会社がArchaea Energyの埋立地ガス(RFG)由来バイオメタンを約2.6万Nm³(約20トン)購入して、フリーポートLNG基地で液化して出荷し、関西のLNG基地で受け入れる予定です。

日本ガス協会は、2050年頃までに都市ガスの大部分を合成メタン(e-メタン)やバイオメタンへ置き換える方針を掲げており、今回の調達はその目標に向けた取り組みの一環となります。

米国産バイオメタン調達の理由と目的

大阪ガスの米国子会社Osaka Gas USA Corporation(OGUSA)の子会社(OGTX)が、2025年11月28日にArchaea Energyから米国産バイオメタンを調達する契約を結びました。

大阪ガスプレスリリース:米国産バイオメタンの調達契約の締結について

大阪ガスが米国バイオメタン調達に動いた理由は、以下の3点があります。

  • 2050年のカーボンニュートラル公約達成に向けた取り組み
  • e-メタン普及までの代替策としてバイオメタンを利用する
  • 米国RNG市場の成熟によりバイオメタン調達が容易となった

Daigasグループは「カーボンニュートラルビジョン」を掲げ、2030年度までに天然ガスの低炭素化・脱炭素化を進めており、水素とCO₂から合成するe-メタン(合成メタン)の導入を目指しています。

しかし、e-メタン製造技術はまだ確立しておらず、コストダウンも難しいため、当面の代替策として浮上したのが、既存の技術で製造可能なバイオメタン(RNG: Renewable Natural Gas)です。

バイオメタンは既存のLNGインフラや都市ガス導管をそのまま利用することが可能で、燃料転換による新たな設備投資を抑えることができます。

また、化石燃料由来の天然ガスを生物由来のメタンに置き換えることで、CO2排出量を削減できるというメリットがあります。

米国がバイオメタンの供給拠点に

米国の埋立地ガス バイオメタン

米国では豊富な原材料と、環境価値取引制度などの先進的な政策を背景に、埋立地・畜産・食品廃棄物などを原料とするRNG案件が急増しており、世界有数のバイオメタン生産国となっています。

米国のバイオガス業界団体 American Biogas Council の統計によると、2024年の1年間で125件の新規バイオガスプロジェクトが稼働開始し、約30億ドルの新規投資が行われています。

前年より新規プロジェクト数で17%、投資額で40%増加しており、バイオメタンや再生可能天然ガス(RNG)の供給力が急速に拡大しています。

また、アメリカでは大規模な埋立地ガス(LFG)や畜産廃棄物由来のRNG市場が確立されており、スケールメリットを活かした調達が可能となります。

バイオガスとバイオメタンの違い

バイオメタンやRNGは、燃焼時に植物や有機物が成長過程で吸収したCO₂が大気に戻ると見なされ、ライフサイクルで温室効果ガス排出削減に寄与する「カーボンニュートラルガス」として利用が進んでいます。

  • バイオガス: 生ごみ、下水汚泥、家畜ふん尿など有機廃棄物をメタン発酵させて得られるガスで、メタンとCO₂を主成分とし、硫化水素など不純物も含みます。
  • バイオメタン: バイオガスからCO₂や不純物などを除去し、メタン濃度を天然ガス並みに高めたガスで、パイプライン輸送やLNG化に適した品質があります。
  • RNG(Renewable Natural Gas): バイオメタンとほぼ同義で、再生可能な起源を持つ天然ガス相当ガスの総称です。

バイオメタンの証書・環境価値を管理

このバイオメタンに紐づく環境価値は、北米の再エネ証書トラッキングシステムM-RETS(Midwest Renewable Energy Tracking System)を活用して証明・追跡します。

今のところ、海外産e-メタン・バイオメタンの環境価値は日本国内で認められていませんが、北米のシステムを援用し、環境価値を付与した都市ガスとして販売される予定です。

大阪ガスの長期ビジョン「エネルギートランジション2050」では、e-メタン・バイオメタンの導入拡大と、それを支える証書・環境価値の管理をテーマに掲げています。

2024年には三菱重工と共同で、バイオメタンやe-メタンの環境価値をデジタル管理する「CO₂NNEX」プラットフォームを展開すると発表しており、今後も環境価値管理のデジタル化を進める方針です。

バイオメタンのサプライチェーン検証

大阪ガスが今回米国から調達するバイオメタンは、一般家庭約900世帯の1か月分のガス消費量に相当する約2.6万Nm³(約20トン)となっています。

大阪ガス全体の需要から見れば小さな量ですが、今回の取り組みは将来のe-メタンやバイオメタンの導入に向けた、サプライチェーンの設計・検証を主目的としています。

  • バイオメタンの調達・液化・海上輸送・再ガス化という一連のオペレーションを実証
  • M-RETSによる環境価値トラッキングと、日本で供給する際の実務フロー検証
  • 将来のe-メタン導入に向けた契約スキームや、会計・開示の扱いを整理

また、今回のバイオメタン調達とは別に、TotalEnergies・TES・東邦ガス・伊藤忠商事とともに米国ネブラスカ州でe-NG(e-メタン)製造プロジェクト「Live Oak」の共同開発契約を締結しています。

Archaea Energyについて

Archaea Energyは米国最大級の再生可能天然ガス(RNG)事業者で、埋立地ガス(LFG)を主な原料とするRNGプラットフォームを全米で展開しています。

2022末年にBPに買収され、その資金力と規模を背景に、埋立地ガス(RNG)の新規開発と既存プロジェクトの最適化を積極的に進めており、業界を牽引する存在となっています。

Archaea Energyについて:Archaea Energy (アーキア・エナジー)


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