バイオエタノールを活用したe-メタン製造技術を開発 大阪ガス

大阪ガスがバイオエタノールを活用したe-メタン製造技術を開発

大阪ガスがe-methane(e-メタン)製造技術「エタノールメタネーション」を用いて、ラボスケールでは世界初となる、エタノールからメタンを主成分とする混合ガスの製造に成功したと発表しました。

一般的なメタネーション技術であるサバティエメタネーションと比較すると、水素の使用量を4分の1まで減らすことが可能となり、電力コストも抑えることができます。

Daigasグループ プレスリリース:【ガスのカーボンニュートラル化に向けた新たな技術開発の取り組み】バイオエタノールを活用したe-methane製造技術を開発

メタネーション技術の比較とエタノールメタネーションの優位性

大阪ガスのエタノールメタネーション技術は、低温域でも高効率に反応を促進する高活性触媒を用いてバイオエタノールと水素を反応させ、e-メタンを合成するプロセスが特徴です。

従来のサバティエ反応(CO₂ + 4H₂ → CH₄ + 2H₂O)と比べて、水素の使用量が4分の1まで減少し、水素製造に必要な電力も4分の1となるため、電力コストを抑えることができます。

バイオエタノールからe-メタンを製造するプロセス

開発で課題となっていた反応器1段目のエタノール分解では、大阪ガスが保有する触媒技術を活用し、バイオエタノールを安定的にガスへ変換できることを確認しています。

大阪ガス バイオエタノール反応器

また、2,000時間にわたる初期耐久性の評価試験を行い、反応率100%を維持することも確認しています。

エタノールメタネーションの長期反応試験

バイオエタノールは、トウモロコシやサトウキビ、あるいは廃棄物系のバイオマスから製造されるカーボンニュートラルな燃料で、メタン燃焼時に発生するCO₂は計上不要となります。

大阪ガスではエタノールメタネーションの実用化に向けて、今後はプロセス最適化やさらなる長期耐久試験に取り組み、プラント設計会社等との連携によるスケールアップを目指すとしています。

バイオエタノール由来CO₂活用の技術的意義

バイオエタノール由来CO₂活用の意義

これまでのe-メタン製造では、発電所や工場から排出されるCO₂などが用いられてきましたが、大阪ガスが開発したエタノールメタネーションは、バイオエタノールに含まれるCO₂を原料とする点に特色があります。

大阪ガスは以前より米国企業2社と共同で、バイオエタノールプラントから回収したバイオマス由来のCO2を用いた、e-メタン製造に関する検証を行っています。

Daigasグループ トピック:バイオマス由来のCO2を用いた「e-メタン」製造に関する実現可能性の検討を開始

また、大阪ガスが参画する米国ネブラスカ州のLive Oakプロジェクトでは、グリーン水素とバイオマス由来CO₂を原料とする年間約7.5万トンのe-メタンを生産し、2030年までに日本への輸出を目指しています。

バイオガステック記事:大阪ガス・東邦ガス・伊藤忠が米国eメタン事業に参入

バイオエタノール活用のメリット

従来型のサバティエ反応では、CO₂の回収(DACやPCC)に膨大な熱エネルギーが必要となりますが、バイオエタノールはCO₂が液体の状態で固定されているため、製造プロセスの熱効率で優位になります。

また、CO₂は貯蔵や長距離輸送に多大なエネルギーとコストを要しますが、液体であるエタノールはエネルギー密度が高く、既存の物流インフラをそのまま活用できるため、高い輸送効率が見込めます。

他にも、バイオマス由来CO₂には以下のメリットがあります。

  • 高純度CO₂による精製コスト削減
  • バイオマス由来による低炭素性
  • 安定供給可能な副産物CO₂
  • BECCS・CCUとの親和性

従来型CO₂とバイオエタノール原料の比較

比較項目従来型(CO₂ + 水素)バイオエタノール原料型
主な炭素源工場排ガス、CO₂分離回収装置バイオエタノール(液体)
輸送・貯蔵高圧タンク、液化設備が必要既存の液体燃料タンクが利用可能
反応温度300℃〜400℃(サバティエ反応)触媒技術により最適化
エネルギー効率分離回収プロセスでの損失が大きいエタノールの化学エネルギーを有効利用
供給安定性排出源の立地に依存グローバルな市場調達が可能

大阪ガスのe-メタン製造による脱炭素戦略

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、都市ガス業界では既存インフラを活用した脱炭素化が重要なテーマとなっています。

その中核技術として注目されているのが、再生可能エネルギー由来水素とCO₂を合成して製造するe-メタン(合成メタン)です。

e-メタンは、従来の都市ガス設備や導管、既存のガス機器をほぼそのまま利用できる点が最大の特徴です。設備更新コストを抑制できるので、日本のガス事業者にとって現実的な選択肢となっています。

大阪ガスは「エネルギートランジション2050」の中で、e-メタンを中長期戦略の柱と位置づけており、従来のサバティエ反応メタネーションに加えて、革新技術であるバイオメタネーションやSOECメタネーションの技術開発にも取り組んでいます。

Daigasグループ資料(PDF):カーボンニュートラル社会実現に向けた大阪ガスの取組み

e-メタンの最大の課題はコストで、現時点では再生可能電力価格や水電解装置コスト、CO₂回収費用が事業性を左右する主要因となっています。

現状のe-メタン製造コストは80〜200円/N㎥で、液化天然ガス(LNG)の3〜5倍水準(経産省試算)となっており、大阪ガスはスケールアップや技術革新によって、2030年代のコスト低減を目指しています。

欧州ではPower-to-Gas市場が拡大しており、ドイツ・フランスを中心に大規模実証が進展しています。日本でもGX政策やJ-クレジット制度との連携によって、市場形成が進むと見込まれます。


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