ダイハツ工業は近江牛発祥の地、滋賀県竜王町にある滋賀工場で、牛ふんからバイオガスや堆肥を作るバイオガス実証プラントを本格稼働したと発表しました。
ダイハツ工業ニュース:「竜王町バイオマス産業都市構想」におけるバイオガス実証プラントが本格稼働を開始
ダイハツ工業は、2021年からNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受け、自動車生産の技術を活かしたバイオガスプラントの立ち上げを進めてきました。
竜王町バイオマス産業都市構想
滋賀県竜王町では、持続可能な地域社会の実現に向けた「竜王町ならでは」の取組みとして、地域のバイオマス資源を活用・循環する「竜王町バイオマス産業都市構想」を推進しています。
竜王町は近江牛発祥の地として有名であり、肥育牧場から家畜排せつ物が大量に発生します。また、稲作や果物などの栽培も盛んで、竜王町では豊富な農業バイオマス資源の活用を検討してきました。
滋賀県竜王町:竜王町バイオマス産業都市構想(PDF)
竜王町は2023年1月に滋賀県では初の「バイオマス産業都市」に認定され、その構想の一環として、ダイハツ工業は竜王町の工場でバイオガス実証プラントを建設しました。
ダイハツ工業 バイオガス実証プラントの概要
このプラントでは、自動車生産の知見や技術を活かし、ダイハツ独自の乾式発酵技術やバッチ式発酵プロセスを開発するとともに、工程の自動化を実現しています。
また、アルミニウム鋳造工場で必要となる燃料ガスの約10%をバイオガスに置き換え、工場のカーボンニュートラル達成に貢献します。
ダイハツ工業:バイオガス実証プラントの概要説明
さらに、水分が少ないため発酵が難しい肉牛糞尿の特性に合わせて、メタン発酵の種菌を2年かけて開発し、小型バッチ式の発酵槽を80個収納して個々の発酵状態を個別管理する仕組みも導入しています。
発酵後の残渣は固体と液体に分離して、有機肥料の堆肥と液肥として、竜王町の農家で活用します。
竜王町では「竜王町バイオマス産業都市構想」を通じて、資源の地域内循環やエネルギーの地産地消を推進し、環境にやさしい竜王町産の農産品・畜産品・工業製品として、ブランド力向上を目指しています。
近江牛の家畜排せつ物等を利用したバイオガス化プロジェクト
- 事業主体:民間事業者
- 年間稼働日数:330日
- 原料調達計画:肉牛糞 20t/日、食品廃棄物 18t/日
- 事業費:メタン発酵プラント設備13.45 億円(試算)
- 維持管理費:1.345 億円/年(設備費用の 10%)
- 事業収入計画:ガスの販売料金:50 円/Nm3(仮)、家畜排せつ物処理手数料:2,000 円/t(仮)、食品廃棄物処理手数料:30,000 円/t(仮)