下水汚泥由来のCO₂とグリーン水素でe‑メタン製造実証 東京ガスと東京都

画像:東京都より

東京ガスは東京都と連携し、下水汚泥由来CO₂とグリーン水素を使ったe‑メタン製造実証を行います。

東京ガス プレスリリース:国内初!東京都産グリーン水素と下水汚泥由来のCO₂を活用したe-メタン製造実証◆東京都と協定締結

この事業は、再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」と、下水処理の過程で発生するバイオガス由来の「CO₂」を合成して、メタネーション装置でe-メタンを製造する日本初の試みとなります。

下水汚泥由来CO₂のメタネーション

メタネーションとは、水素(H₂)と二酸化炭素(CO₂)を化学反応させて、都市ガスの主成分であるメタン(CH₄)を合成する技術のことです。

メタネーションはカーボンリサイクル社会を実現する切り札として期待されており、今まで廃棄されていたCO₂を資源として活用し、実質的にCO₂排出量ゼロのe-メタンを生み出すことができます。

東京ガスは、2022年3月からメタネーション装置によるe-メタン製造プロセスの実証を行っており、この事業ではグリーン水素と下水汚泥由来のCO₂を合成してe-メタンを製造します。

東京ガス プレスリリース:2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けメタネーション実証試験を開始

メタネーション技術の応用によって、下水汚泥由来バイオガスの価値を最大化し、都市ガスインフラの脱炭素化を加速させることが可能になります。

この事業は、東京都が公募した「東京都産グリーン水素と下水汚泥由来の二酸化炭素によるグリーンメタン製造(合成)事業」)に採択されています。

CO₂を都市ガス原料に

従来のバイオガス利用は発電や熱利用のほか、CO₂を除去してメタン純度を高めた「バイオメタン」を都市ガス導管に注入する手法が主流でした。

このプロセスで分離されたCO₂の約40%は、今まで大気中に放出されていましたが、メタネーションによってCO₂をグリーン水素と反応させてガス原料に転換します。

これにより、バイオガスに含まるメタン(約60%)に加え、CO₂(約40%)も資源化できるため、下水汚泥から得られるメタンの量を最大で約2.5倍にまで高めることが可能になります。

国内初 混合ガスからe-メタン製造

グリーン水素と下水汚泥由来CO2からe-メタン製造

画像:東京ガス プレスリリースより

メタネーションによるe-メタン製造のプロセスは、最先端の技術を組み合わせたもので、メタネーション装置は、IHI製のサバティエ方式を採用しています。

下水汚泥由来の混合ガスからメタンとCO₂を分離せず、直接配管で連続供給しながらe-メタンを製造するプロセスは国内初となります。

混合ガスをそのまま原料として使用するため、分離装置などの設備コスト低減が可能です。また、製造したe-メタンを発電に用いることで、CO₂を無駄なく使うことができます。

  1. バイオガスからのCO₂分離・回収:下水汚泥から発生したバイオガスから、CO₂を選択的に分離・回収します。
  2. グリーン水素の製造:敷地内に設置した水電解装置を、太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力で稼働させ、水を電気分解してCO2フリーの「グリーン水素」を製造します。
  3. メタネーション(合成):回収したCO₂と製造したグリーン水素を、触媒を充填した反応器内で化学反応(サバティエ反応: CO₂ + 4H₂ → CH₄ + 2H₂O)させ、「e-メタン(合成メタン)」を製造します。

この一連の流れにより、実質的にCO₂排出量ゼロのカーボンニュートラルな都市ガスが実現します。e-メタンは熱量調整などを経て、既存の都市ガス導管へ注入され、家庭や工場へ供給される予定です。

下水処理場からCO₂とメタンを供給

製造されるe-メタンは、東京都のグリーン水素と、大田区昭和島の下水処理場「森ケ崎水再生センター」で発生した下水汚泥由来の混合ガスに含まれるCO₂を原料としています。

ガスインフラにも近く、安定したCO₂とメタン供給が可能なため、実証実験用のメタネーション装置は森ケ崎水再生センターに設置されました。

  • 安定したCO2供給源:下水処理では、汚泥を嫌気性発酵させて減量化する過程で、メタン(約60%)とCO2(約40%)を主成分とする「バイオガス(消化ガス)」が大量に発生します。下水処理場はバイオガスの一大発生源であり、e-メタンの原料となるCO2を安定的かつ大規模に確保できるポテンシャルを持っています。
  • インフラ近接性:大規模なガス需要地である首都圏に位置し、既存の都市ガス導管網も近接しています。製造したe-メタンをスムーズに供給網へ注入できる地理的優位性があります。

この事業によって、下水処理場を単なるインフラから「資源・エネルギー生産拠点」へと転換させます。

水素とe-メタンの比較 既存インフラを活用

水素は脱炭素エネルギーとしての期待が高まっていますが、社会実装には水素輸送・貯蔵インフラの再整備や、給湯器やコンロなどの買い替えいった課題が伴います。

製造されたe-メタンは、天然ガスとほぼ同じ成分であるため、既存の都市ガス導管や家庭・工場のガス機器をそのまま利用できるという大きな利点があります。

これにより、水素転換のインフラコストを抑えながら、ガスの脱炭素化を進めることが可能になります。

特性e-メタンのメリット
互換性既存の都市ガス導管、貯蔵タンク、家庭用ガス機器などを一切変更することなく利用可能です。
社会的コスト社会インフラ全体への追加投資を最小限に抑えながら、スムーズなカーボンニュートラルへの移行を実現できます。
大規模貯蔵電力のように大規模な貯蔵が難しいエネルギーと異なり、既存のガスホルダーやパイプラインネットワーク自体が巨大な蓄電池のように機能します。

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