北海道湧別町で国内最大級のバイオガス発電施設が完成し、7月8日に竣工式が開かれました。
このバイオガスプラントは、北海道で2番目の大きさとなる集中型バイオガスプラント(乳牛換算3,400頭規模)となり、本稼働は10月を予定しています。
湧別町では「湧別町バイオマス産業都市構想」を掲げており、バイオガスプラントは湧別版シュタットベルケの実現に向けた取組の1つとなります。
オホーツク湧別バイオガス株式会社
画像:北海道農政事務所 記事より
プラントの運営主体となるオホーツク湧別バイオガス株式会社は、周囲にオホーツク海とサロマ湖が広がる湧別町に位置しています。
湧別町内には約21,000頭の乳用牛を抱え、酪農業が大変盛んな町として知られていますが、酪農家の高齢化による労働力不足や、家畜ふん尿の急激な増加が問題になっていました。
これらの問題を地域一丸となって解決するため、令和3年11月に「オホーツク湧別バイオガス株式会社」を設立して集中型プラントを設置し、町内で発生する家畜ふん尿を適正処理するとともに、処理過程で発生するバイオガス(メタン発酵ガス)売電事業を行うことになりました。
オホーツク湧別バイオガス公式サイト:オホーツク湧別バイオガス株式会社
プラントから生まれるエネルギーは売電だけでなく、余剰熱の施設利用や災害時の非常用電源、発酵残さを液肥や再生敷料に活用するなどして、地域循環型モデルの構築を図る計画です。
オホーツク湧別バイオガス株式会社は、町内25戸の酪農家やJA、漁業協同組合、民間企業等が出資するという全国にも例のない形態で、自治体と民間の地域連携モデル事業として期待されています。
北海道農政事務所が、建設中のバイオガスプラント見学の様子を記事にしています。
北海道農政事務所:湧別町で建設中の集中型バイオガスプラントを訪問しました:北海道農政事務所
湧別町バイオマス産業都市構想 湧別版シュタットベルケを目指す
湧別町バイオマス産業都市構想は、2020年(令和2年)度に関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)の共同選定を受け、バイオマス産業都市として認定されました。
また、同年に湧別町、湧別町農業協同組合、えんゆう農業協同組合、湧別漁業協同組合、株式会社ビオストック、バイオマスリサーチ株式会社6者による「バイオガス事業推進に係る連携協定」を締結しています。
湧別町では地域循環共生圏を実現するため、自治体と民間企業の連携による湧別版シュタットベルケを目指しており、バイオマスが生み出すエネルギーを活用する計画です。
シュタットベルケとは
シュタットベルケとはドイツ発祥の官民連携の仕組みで、共同出資による地域企業が、電力やガス、公共交通などのインフラサービスを提供しています。
ドイツでは地域資源を有効活用するため、シュタットベルケによる地域エネルギー供給の取り組みが進んでおり、地域内での雇用創出や資源循環を実現しています。
湧別町バイオガスプラント 施設概要
- 事業主体: オホーツク湧別バイオガス株式会社
- 施設住所: 北海道紋別郡湧別町福島390番地1
- プラント形態: 集中型バイオガスプラント
- 家畜ふん尿利用量: 80,600t/年(予定)
- 消化液、再生敷料利用率: 100%(予定)
- 発電量: 7,152MWh/年(予定)
- 施工業者: イチエイ山田・コーンズ・前澤特定建設工事共同企業体
- 契約金額: 44億7,700万円
湧別バイオガスプラント見学会 2025年10月開催
湧別バイオガスプラント見学会が2025年10月2日(木)に開催されます。当日は見学会の他に、バイオガスプラントに係るセミナーや交流会も実施されます。
参考記事:湧別バイオガスプラント見学会 2025年10月開催
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