画像:東京エネシスニュースより
東京エネシスは、熊本県合志市で食品工場排水汚泥や下水・食品残渣を活用したメタン発酵バイオガス発電事業を開始すると発表しました。
東京エネシス:熊本県合志市におけるメタン発酵バイオガス発電事業の取り組みについて ~産業廃棄物を再生可能エネルギーとして利活用し地域課題解決に貢献~
この発電施設は、食品廃棄物の地元資源化と再生エネルギー化の両立モデルとなり、発電により電力を地元へ供給しつつ、廃棄コスト削減やCO₂排出量削減を実現します。
東京エネシスグループは、今後、熊本バイオガス事業をモデルとして、地域特性・課題に対応したバイオガス発電事業の全国的な展開も視野にいれる計画です。
東京エネシス 熊本バイオガス事業計画の概要
プラントは熊本県合志市の塩浸川(しおひたしがわ)浄化センター隣接地に建設し、付近の浄化センターや食品工場から出る排水汚泥・下水汚泥、食品残渣、焼酎かす等を原料とします。
発電方式はメタン発酵ガス発電設備(湿式)で、原料の有機物を微生物によってメタン発酵させ、発生したメタンガスを燃料として発電します。
- 事業主体:合同会社熊本エネルギーパワー
- 年間売電量:約1,188万kWh(約3,000世帯分の年間電気消費量相当)
- 営業運転開始:2029年7月予定
- FIT売電価格:35円/kWh
この事業では、メタン発酵の副産物である消化液の処理が課題でしたが、パートナー企業との協力により、急速発酵乾燥資源化装置を導入します。
事業用としてのメタン発酵バイオガス発電と、急速発酵乾燥資源化装置の組合せは初めてとなり、発生する副産物は、含水率の低い良質な燃料や肥料、飼料、敷料といった資源として利用できます。
バイオガスプラント 消化液処理の問題
バイオガスプラントでは、メタン発酵プロセスの副産物として大量に発生する消化液の処理が問題となります。
一般的には農地への散布や、化学薬品を投入して排水処理を行いますが、独特の臭気を発生させるため近隣住民とのトラブルにつながりやすく、排水として河川や下水道に放流するためには高度な水処理が必要となり、多大な処理コストと維持管理費用がかかります。
経済的・環境的にバランスの取れた消化液処理システムを確立することが、バイオガス発電の普及には不可欠です。
消化液処理 参考記事:バイオガスプラント 消化液の成分や処理・活用方法