三菱商事がシンガポールに拠点を置くKISグループに出資し、世界のバイオガス市場に参入します。
東南アジアやインドでは廃棄物起源バイオガス・バイオメタンへの投資が拡大しており、両社は提携してバイオメタンや再生可能ガスプロジェクトの開発を進める方針です。
Bioenergy Insight:Mitsubishi Corporation takes stake in KIS Group to enter global biogas market
三菱商事 KISグループ投資の目的
三菱商事は2025年11月にKISグループのインドネシア事業に対し、少数株主として出資しました。これは三菱商事にとって、世界バイオガス市場への本格参入と位置づけられます。
KISグループは廃棄物由来エネルギー(WtE)と水処理に強みを持つ総合エンジニアリング企業で、シンガポールを拠点に、インド・中東・北米・インドネシアなど11カ国に進出しています。
また、KISグループは東南アジアやインドで、多くのバイオガス・バイオメタンプロジェクトの実績があります。
日本の総合商社各社がバイオメタンへの投資を加速させる中で、原料確保(Upstream)は大きな課題となっており、三菱商事はKISグループへ出資し、パームオイル廃液(POME)などにアプローチします。
マレーシアやインドネシアは世界最大のパーム油生産地であり、その副産物であるパームオイル廃液(POME)は、大きなポテンシャルを持つバイオガス原料として注目されています。
KISグループは2030年までに、再生可能ガスやバイオ燃料プロジェクトへ10億ドルの投資を計画しており、三菱商事が持つ90カ国超のネットワークを活用して、バイオガスやバイオLNGの国際展開を進めます。
KIS Groupのバイオガス事業
KISグループは2006年にK.R.Raghunath氏がインドで創業した総合エンジニアリング企業で、現在はシンガポールとインド・バンガロールの2拠点体制となっています。
バイオガス分野では、プラントのEPC(設計・調達・建設)から運転保守(O&M)まで一貫して手掛けており、EPC + 資金調達モデルによる一体運用も展開しています。
商用BioCNG / Bio-LNGプラントの開発も進めており、パームオイル廃液(POME)などの産業排水からバイオメタンを生成し、ユニリーバやシェルなどの大手企業に供給しています。
バイオメタンはLNGの代替だけでなく、SAFやグリーン化学品の原料として重要性が高まっており、KISグループは2029年までに100件規模のBioCNGプロジェクト構築を目指しています。
KISグループの強み
- パーム油・砂糖・酪農など、メタン排出の多いセクター向けプラント設計ノウハウ
- 廃棄物処理(汚水処理・臭気対策)とエネルギー回収を一体で設計する能力
- バイオメタン(BioCNG・BioLNG)をグローバル企業に長期供給してきた実績
KISグループ:KIS Group – Leader in Asia, Emerging As Global Player in Biogas, BioCNG®, BioLNG and BioHydrogen
商社におけるバイオメタンビジネスの将来性
世界のガス需要が伸びる中で、ガスのカーボンニュートラル化が課題となっており、IEAの最新レポートによると、世界のバイオガス・バイオメタン需要は2030年にかけて20〜30%拡大すると見込まれます。
また、世界バイオガス協会(WBA)はバイオガスの活用によって、2030年までに世界の温室効果ガス排出を10〜13%削減できるポテンシャルがあると指摘しています。
responsAbilityなどの気候インフラ投資家をはじめ、日本の大手商社も各国のバイオメタン案件に資金を投入し、プロジェクトファイナンス調達環境を整える動きが進んでいます。
三菱商事は今回のKISグループ出資を通じて、インドや東南アジアで急拡大するガス需要と、脱炭素ニーズの両方を捉えるとともに、ガスのカーボンニュートラル化に向けた実証・商業化を進める方針です。






