クボタが稲わらからバイオ燃料製造の実証実験 京大・早大と産学連携

クボタが農業バイオマス活用の実証実験 京大・早大と産学連携

農業機械メーカーのクボタが、京都大学や早稲田大学と連携して、稲わらから製造したバイオ燃料を農家や家庭で利用する地域資源循環システムの構築に取り組んでいます。

クボタ ニュースリリース:秋田県大潟村で稲わらからバイオ燃料などを製造する実証プラントが稼働

実証実験では地域の稲わらを収集し、クボタのメタン発酵技術と大学発の革新的な触媒による反応技術を用いて、バイオ燃料を製造します。

すでに秋田県大潟村で実証用のメタン発酵設備が稼働しており、大潟村や秋田県立大学の試験ほ場で共同研究を行っています。

京都大学・早稲田大学と産学連携

クボタは2022年4月から、京都大学や早稲田大学と連携して、稲わらや家畜ふん尿を利用した「小型分散型」の地域資源循環システムの実証実験を開始しました。

クボタ ニュースリリース:農業系バイオマスを利用した地域資源循環システム構築の実証実験を開始

クボタは自社のメタン発酵技術と、京都大学と早稲田大学が保有する革新的な触媒による反応プロセス技術を用いて、地域で収集する稲わらからバイオガス、グリーンLPG、グリーン水素等のバイオ燃料を製造し、地域の農業や家庭で利用する仕組みの構築に取り組みます。

また、稲わらからはバイオ燃料と同時に、農業で利用できる肥料(バイオ液肥)も製造します。

組織研究の役割期待される効果
株式会社クボタプロジェクト全体の統括、メタン発酵技術、農業機械との連携稲わら収集から利用までのサプライチェーン構築、実用化に向けた技術開発
京都大学革新的な多元素ナノ合金触媒の開発バイオガスから次世代燃料への変換効率を飛躍的に向上させる触媒技術の創出
早稲田大学触媒能力を最大化する反応プロセスの開発触媒の性能を最大限に引き出し、安定かつ低コストな燃料製造プロセスを確立

バイオガスからグリーンLPGやグリーン水素などの次世代燃料を高効率で製造する技術は、世界的に開発競争が激しい分野であり、京都大学・早稲田大学との産学連携によって早期の実用化を目指します。

京都大学:資源循環を実現する革新的触媒の開発・実証事業の開始について

早稲田大学:脱炭素化 触媒技術の開発事業に採択

参考記事:早稲田大学がバイオガスを低温で化学原料化する技術を開発

この先進的な取り組みは、環境省の「令和4年度地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業」にも採択されています。

環境省 報道発表資料:令和4年度地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業の公募採択案件について

稲わらなどのバイオマスを循環型資源に

稲わらなどのバイオマスを循環型資源に

農林水産省の推計では、国内の稲わらは年間約800万トン発生し、その多くが肥料として農地にすき込まれますが、温室効果がCO₂の25倍と言われるメタンガスも大量に発生します。

この実証実験の目的は、稲わらなどの未利用バイオマス資源を活用し、バイオ燃料や肥料に変えることで、温暖化ガスの低減や、地産地消型の資源循環「サーキュラーエコノミー」を具現化することです。

農林水産省でも、農山漁村の活性化や地球温暖化の防止、循環型社会の形成といった課題解決に向けて、関係府省と連携してバイオマス活用を推進しています。

農林水産省:バイオマスの活用の推進

大潟村のバイオマス産業都市構想

実証実験では稲わらの収集や、製造したバイオ燃料と肥料の地域利用が必須であり、実験内容との親和性が高い地域として、秋田県大潟村が選ばれました。

大潟村は日本有数の米どころであり、同村が提唱する「バイオマス産業都市構想」にも、稲わらをメタン発酵させて製造するバイオガスや液肥の活用が含まれています。

大潟村役場:大潟村バイオマス産業都市構想


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