カナデビア株式会社(旧日立造船)の100%子会社、スイスKanadevia Inova AG(カナデビア・イノバ社)が、英国バイオガス大手を買収しました。
カナデビアはこの買収によって、ヨーロッパと北米のバイオガス事業をさらに拡大させる方針です。
カナデビア・イノバが英バイオガス大手を買収
カナデビアのスイス子会社、カナデビア・イノバは、英国を拠点とするバイオガス企業Iona Capital Ltd.(アイオナキャピタル社)および、グループ会社3社を買収したことを発表しました。
アイオナキャピタル社が英国で運営する11カ所の既存バイオガスプラントも取得し、欧州や米国で開発中の新規プロジェクトを引き継ぎます。
この買収によって、カナデビア・イノバが保有・運営するバイオガスプラントは合計18カ所となります。
カナデビア ニュースリリース:Kanadevia Inova がバイオガスプラントのアセットマネジメント会社を買収
カナデビアは今回の買収によって、従来のEPC(設計・調達・建設)事業から脱却し、プラントの所有や運営、資産管理(アセットマネジメント)までを一貫して手掛ける垂直統合型の「グリーンユーティリティ企業」を目指しています。
これによって不安定な受注型ビジネスだけでなく、安定的かつ継続的な収益基盤を確立することが可能となります。
カナデビア 買収による欧州バイオガス事業拡大
ロシア産化石燃料依存からの脱却と世界的な脱炭素化の流れを受け、カナデビアはヨーロッパの企業や技術の買収を通じて、バイオガス・バイオメタン事業を拡大してきました。
カナデビアは2014年にスイスの電力大手 Axpo グループから、乾式メタン発酵技術の「Kompogas®(コンポガス)」を買収し、ヨーロッパでバイオガス事業に参入しました。
Kanadevia Inova: Kompogas® Dry Anaerobic Digestion From a Waste to a Resource Economy
続いて2021年にドイツの Schmack グループから湿式メタン発酵技術を買収、2023 年にはイタリアでバイオガス事業を手がける「Schmack Biogas Srl(現Kanadevia Inova Schmack Biogas Srl)」、2025年にオランダのバイオメタン事業会社「Groengas Cothen B.V.」も買収しています。
カナデビア ニュースリリース:Hitachi Zosen Inova社がバイオガス関連企業2社を買収
2022年5月にEUが発表した再生可能エネルギー利用計画「REPowerEU」などの後押しもあり、ヨーロッパ諸国ではロシア産天然ガスの代替となるバイオガスの需要が高まっています。
カナデビアは子会社のKanadevia Inovaを通じてその需要を取り込み、ヨーロッパや北米を中心にバイオガス事業を拡大する方針です。