IHIプラントがマレーシアでパーム油排水からバイオメタン製造

IHIプラントがマレーシアでパーム油排水からバイオメタン製造

IHIプラントは、マレーシアのバイオエネルギー企業MTCO社と提携し、パーム油廃水(POME)からバイオメタンを生産する技術を共同開発すると発表しました。

IHIプレスリリース:パーム油製造時の排水から、グリーン燃料であるバイオメタンの製造検討を行う覚書を締結

この取り組みによって、パーム油の排水から発生するメタンを有効活用し、温室効果ガスの排出削減と、クリーンエネルギーの創出を同時に実現します。

東南アジアではPOMEの有効利用が温室効果ガス抑制策として注目されており、日本企業の技術輸出案件として注目されます。

パーム油排水からメタン放出

マレーシアのパーム

パーム油はチョコレートやアイスクリーム、洗剤、化粧品など、様々な油脂成分として広く使用されており、世界の植物油需要の約40%を占めています。

マレーシアやインドネシアなどの東南アジア諸国では、パーム油の産業が国の経済を支える重要な役割を担っており、世界需要はさらに増加すると予想されています。

しかし、パーム油の排水(POME, Palm Oil Mill Effluent)には大量の有機物が含まれており、自然にメタンガスが発生して大気中に温室効果ガスを放出するという問題がありました。

パーム油の製造工程で発生するPOMEは、ラグーンと呼ばれる巨大な池で自然分解されるのを待ちますが、その過程でメタンが大気中に放出されます。

POMEから発生するメタンは、世界の温室効果ガス排出量の約2%に相当すると言われており、早急な対策が求められていました。

パーム油排水POMEからバイオメタン製造

IHIプラントとMTCOは両社の技術を活かし、POMEから効率的にバイオガスを回収してバイオメタンを製造する革新的なシステムの開発を目指します。

メタン発酵の技術として、IHIプラントが嫌気性排水処理技術「BIOPAQ®IC」を提供し、嫌気性微生物の働きを利用するMTCOの嫌気性カバーラグーン技術を組み合わせて、バイオガスを生成します。

POMEから回収されたバイオガスは精製プロセスを経て、天然ガスとほぼ同等の成分である高純度なバイオメタンになり、カーボンニュートラルなグリーン燃料として利用できます。

また、液化して液化バイオメタン(LBM)や、さらに転換してバイオアンモニア、バイオメタノールなど、より高品質の製品に転換することも可能です。

これにより、これまで大気中に放出されていたメタンを有効活用し、温室効果ガスの排出削減と、クリーンエネルギーの創出を同時に実現します。

IHIのBIOPAQ®ICと、MTCOのラグーン技術の組み合わせはPOMEの処理効率を高め、日本から東南アジア諸国への技術輸出促進や、産業育成にも貢献できるモデルとなります。

New Straits Times(英語サイト):MTC Orec, IHI team up to boost Malaysia’s biomethane sector

株式会社IHIプラント

IHIプラントはプラント設備の建設・メンテナンスを行う会社です。メイン事業のプラントやエンジニアリングの他に、近年は太陽光やバイオマス発電など再生可能エネルギー分野にも力を入れています。

2019年にIHIグループ内のプラント関連3社が合併して設立されました。

IHIプラント:株式会社IHIプラント

マレーシア MTCO社

MTC Orec Sdn Bhdは、バイオエネルギー分野に特化したマレーシアのエンジニアリング企業です。MTCOは現在、ジョホール、ペラ、ペナン各州でそれぞれ4基のバイオタン/CBGプラントの建設を進めています。

マレーシア MTCO社(英語サイト):MTC OREC SDN. BHD.


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