環境省が脱炭素先行地域(第7回)を募集すると発表しました。募集期間は2025年10月6日から10月15日までとなっており、先進性・モデル性など7つの観点で審査します。
環境省は2030年度までに脱炭素先行地域を100か所選び、再エネやEV導入などを集中的に支援する方針です。
環境省 報道発表資料:脱炭素先行地域(第7回)募集について
脱炭素先行地域とは
脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラルという日本の目標達成に向けて、環境省が推進している地方の脱炭素化を加速させるための取り組みです。
選定された地域では、地方自治体が地域住民、企業、金融機関などと連携して、地域特性に応じた具体的な脱炭素化のモデルを構築します。
日本政府は2030年度までに、少なくとも100箇所の「脱炭素先行地域」創出を打ち出しており、地域の持つ再生可能エネルギーポテンシャルを最大限に活用しながら、地域課題の解決と住民の生活の質の向上を同時に実現する「地域循環共生圏」を目指しています。
脱炭素先行地域はこれまで6回の募集が行われ、88地域が選定されています。
脱炭素先行地域の目的と取り組み
脱炭素先行地域は、以下の目的と定義を持っています。
- 2030年度までに民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを実現
- 運輸部門や熱利用等も含めて、その他の温室効果ガス排出削減についても、国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現
これらの目標を達成するため、先行地域で成功事例を創出し、そのノウハウや具体例を他の地域にも広げることで、日本全体の脱炭素化を加速させることを意図しています。
脱炭素先行地域における取り組みとしては、以下が挙げられます。
- 再生可能エネルギー導入と地域内消費:太陽光発電やバイオマス、地熱、水力、風力など、地域ごとのポテンシャルを最大限に活かせる発電設備の導入を進めます。
- 省エネルギーと高効率化:公共施設のZEB化や省エネ改修、住宅・建築物の高断熱化等による省エネ性能向上、エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、地域全体のエネルギー需給を最適化します。
- ゼロカーボン・ドライブ:EV(電気自動車)等の導入促進や、バスやタクシーなどの公共交通機関をEVやFCV(燃料電池自動車)に置き換えて、運輸部門のCO2排出削減を図ります。
- 廃棄物のバイオガス化や発電:食品残渣や家畜ふん尿などをバイオガスとして有効活用し、電力や熱源として利用する仕組みを構築します。
脱炭素先行地域の取り組みは、主に地方公共団体(市町村)が提案し、地域の企業や民間関係者と連携して進めていきます。
地域脱炭素 補助金・支援ツールの活用
脱炭素先行地域の取り組みを進める上で問題も発生しており、環境省が実施した中間評価では、44の脱炭素先行地域のうち18地域で事業の遅れが指摘されています。
主な課題として、地域住民や関係企業との間で合意形成に時間がかかったり、バイオガスプラントのような大規模施設では、資金面や技術面での問題が発生しています。
地域脱炭素の取組に対して、関係府省庁から支援ツールや枠組み、補助金などが用意されており、これらをうまく活用することで地域脱炭素をスムーズに進めることができます。
環境省:第7回 脱炭素先行地域募集 – 脱炭素先行地域 – 脱炭素地域づくり支援サイト
環境省資料:地域脱炭素の取組に対する関係府省庁の主な支援ツール・枠組み(PDF)