オーストラリアのバイオエネルギー業界団体「Bioenergy Australia」が、バイオメタンの巨大な潜在能力を明らかにした調査レポート「Unlocking Renewable Natural Gas」を発表しました。
ジェトロ海外ニュース:オーストラリア業界団体、バイオメタンを活用した脱炭素化の潜在可能性を調査(オーストラリア)
このレポートによると、オーストラリアでは年間400ペタジュールのバイオメタンが回収できると試算されており、オーストラリアにおける潜在的バイオメタン生産の大きな可能性が明らかになりました。
オーストラリア政府に政策支援を提言
Bioenergy Australiaはオーストラリア連邦政府に対し、具体的な導入目標を含めた「国家バイオメタン戦略」の策定や、バイオメタンのインフラ整備、インセンティブの拡充を提言しています。
Bioenergy Australia:Media Release: Unlocking Renewable Natural Gas
※ 今回の調査レポート「Unlocking Renewable Natural Gas to Enhance Energy Security and Maintain Australia’s Manufacturing Sector」のダウンロードも、上記ページから行えます。
オーストラリアの潜在的バイオメタン資源を活用するためには、天然ガスより高い生産コストを低減する必要があり、そのためには国を挙げた政策支援が不可欠です。
- 国家バイオメタン戦略の策定: 官民連携のもと、国家バイオメタン戦略の導入に向けた明確なビジョンとロードマップを策定する。
- 具体的な導入目標の設定: 2030年までにガス供給量の10%をバイオメタンとするなど、野心的な導入目標を掲げる。
- 生産者へのインセンティブ付与: 税額控除や生産補助金などを通じて、バイオメタンの初期投資と生産コストの負担を軽減する。
- ガス規格の整備: バイオメタンを既存のガスパイプラインへ安全に注入するための全国統一基準を早急に策定する。
Bioenergy Australiaのシャヒーナ・フセインCEOは、「オーストラリアのエネルギー安全保障強化と、産業の脱炭素化を進めるために、今こそ政府がリーダーシップを発揮し、バイオメタンを最大限に活用するべき」と述べています。
今回のレポート発表を機に、オーストラリアにおけるバイオメタン産業の確立に向けた官民の取り組みが本格化することが期待されます。
すでにガス供給大手Jemena社によるシドニーの実証プラント稼働や、AGIGによる南オーストラリアのバイオメタン注入プロジェクトが承認され、民間レベルでの動きは始まっています。
Biomethane | gasworld:Australia agrees first biomethane feed into natural gas network
オーストラリアやニュージーランドなど、オセアニア地域を拠点とするバイオガスプラントメーカーやプロバイダーは以下をご参照ください。
参考記事:オーストラリア・オセアニアの主要バイオガスプラントメーカー・プロバイダー
オーストラリアの潜在的バイオメタン資源
オーストラリアは世界有数の農業・畜産国であり、バイオメタンの原料となる有機物資源(家畜の糞や農作物の残渣、食品廃棄物など)が年間を通じ安定して供給されます。
また、バイオメタンは既存のガスパイプラインやガス機器をそのまま利用できる「ドロップイン燃料」であり、インフラ投資を最小限に抑えながら脱炭素化を実現できるソリューションとして期待されています。
しかし、欧州などで導入が加速しているのとは対照的に、オーストラリアではそのポテンシャルが十分に認識されておらず、原料となる廃棄物も焼却や未処理のまま埋立処分されていました。
Energy Networks Australiaはこの状況を踏まえ、バイオメタンや再生可能天然ガス(RNG)を活用した脱炭素化の潜在可能性に関する調査レポートを発表しています。
Energy Networks Australia:Biomethane Opportunities to Decarbonise Australian Industry
バイオメタンの経済的メリット
レポートでは農業由来原料のほかに、下水汚泥やランドフィルガスにも言及しており、潜在的バイオメタンの生産量は、国内家庭における年間ガス消費量の2倍以上となる約400ペタジュールに上ると予想されます。
経済的メリットも大きく、年間900万トンのCO₂排出削減に加え、約50億豪ドル(約5,000億円)の投資機会と、3,000人以上の継続的な雇用を創出する可能性を秘めています。
また、メタンは強力な温室効果ガスであり、有機的資源の活用は温室効果ガス排出削減にも直結します。
オーストラリアの産業部門では、天然ガスが主要なエネルギー源として用いられていますが、2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロの国家目標を達成するために、ガスの脱炭素化が重要課題となっています。






