インドの複合企業リライアンス・インダストリーズ(RIL)のムケシュ・アンバニ会長は、圧縮バイオガス(CBG)プラント建設への大規模な投資を行っています。
注目されるのは、アンドラ・プラデシュ州での取り組みで、RILは約6500億ルピー(約1兆2200億円)を投じ、今後5年間で500基のCBGプラントを建設する計画です。
この構想は、農業廃棄物や都市ごみなどの有機性廃棄物を活用してクリーン燃料を製造し、「不毛地を富を生む土地に変える」というビジョンに基づいています。
リライアンス プレスリリース(PDF):Reliance breaks ground on first of 500 CBG plants in Andhra Pradesh
これらのプラントでは、約50万エーカーの不毛地や遊休地を利用してナピアグラスなどのエネルギー作物を栽培し、年間で合計400万トンの圧縮バイオガス(CBG)と、110万トンの有機肥料を生産する見込みです。
最初のプラントは2025年4月にアンドラ・プラデシュ州で着工されました。このプロジェクトによって、農村部の若者を中心とする約25万人の雇用創出も期待されています。
リライアンス・バイオエナジーのCBG投資
リライアンスグループのリライアンス・バイオエナジーは、2023年の創業以来、インド最大のバイオエネルギー生産企業として急成長しています。
Reliance Bioenergy:Reliance Bioenergy
RILは、2035年までにネットカーボンゼロを達成するという目標を掲げており、その中で圧縮バイオガス(CBG)事業を重要な柱の一つと位置づけています。
すでにジャムナガルに2つの実証ユニットを建設しており、ウッタル・プラデシュ州バラバンキには商業規模のCBGプラントを建設・稼働させています。
アンバニ会長はインド北東部地域に対しても、今後5年間で7500億ルピー(約1兆4100億円)の投資を発表しており、350基の統合型CBGプラントを建設する計画です。
これは、同地域の通信、小売事業の拡大やクリーンエネルギープロジェクトの推進を含む、より広範な開発構想の一環として進められます。
iamrenew ニュース:Reliance promises 350 biogas (CBG) plants across North East
ムケシュ・アンバニ会長が率いるインドの複合企業リライアンス・インダストリーズ(RIL)は1966年に設立され、石油化学や通信、小売、メディア、金融サービスなどを展開するインド有数の企業集団です。
リライアンス・インダストリーズ(RIL):Reliance Industries Limited
圧縮バイオガス(CBG)とは
圧縮バイオガス(CBG)は、農業廃棄物、家畜糞尿、サトウキビの搾りかす、都市の固形有機廃棄物など多様な原料から、嫌気性消化プロセスを経て生成されるバイオガスを精製したものです。
CBGはメタンを主成分とし、生成されたバイオガスから二酸化炭素(CO2)、硫化水素(H2S)、水分などの不純物を除去してメタン濃度を高め、輸送や貯蔵のために高圧で圧縮しています。
圧縮バイオガス(CBG)の特徴と用途
CBGはメタンを主成分とするため、天然ガスから作られるCNGと非常に似た特性を持ちます。そのため、CNG車やCNG発電機など、既存のインフラや設備をそのまま利用できます。
化石燃料の代替として、温室効果ガスの排出量削減に貢献し、自動車燃料、都市ガス導管への注入、発電、産業用燃料、家庭用燃料(調理など)として利用できます。
リライアンス・バイオエナジーの取り組みは、インドの化石燃料への依存度低減と持続可能な社会の実現に貢献するものとして、国内外から注目されています。