画像:VIA Metropolitan Transit websiteより
米国テキサス州サンアントニオ市の公共交通機関「VIA」は、ごみ由来の再生可能天然ガス(renewable natural gas (RNG))をCNGバスに供給しています。
バス燃料にRNGを用いることで、ディーゼル燃料換算で年間約700万ガロンを代替し、バス運行によるCO₂排出量を85%削減しています。
再生可能ガス(RNG)をバス燃料に利用
サンアントニオ市では、先進的な官民パートナーシップにより、ごみ埋立地から発生するLFGガス(Landfill gas)を再生可能天然ガス(RNG)に精製して、バスの燃料に利用しています。
このプロジェクトは、廃棄物処理大手「Republic Services」、エネルギー生産会社「EDL」、電力・ガス会社「CPS Energy」、公共交通機関「VIA Metropolitan Transit」の4者によって行われています。
各社の役割
- Republic Services: ごみ埋立地の運営とLFGの供給。
- EDL: RNGプラントの所有・運営、LFGの精製とRNGへの転換。
- CPS Energy: RNGを既存のガスパイプライン網へ注入・管理。
- VIA Metropolitan Transit: RNGを燃料としてCNGバスを運行。
San Antonio Express-News:From landfill to bus: Energy partnership turns biogas into fuel used by VIA
ごみ埋立地のメタンガスをRNGに
Republic Servicesが運営するサンアントニオ市内のごみ埋立地では、発生したメタンガスがそのまま大気中に放出されるか、燃焼処理されてきました。
このメタンガスを有効活用するため、2022年に4社共同のRNGプロジェクトがスタートして、ごみ埋立地に265本のガス回収井戸が設置されました。
回収したメタンガスをEDLのプラントで精製し、メタンガスから不純物や二酸化炭素が取り除くことで、ガス導管で輸送可能な再生可能天然ガス(RNG)が生成できるようになりました。
EDL:Tessman Road Renewable Natural Gas (Biomethane) Plant, San Antonio, Texas USA
RNGはCPS Energyが管理するガスパイプラインを通じてVIAの燃料供給施設へと送られ、バスの燃料として用いられます。
VIAが保有する400台のバスのうち、95%が圧縮天然ガス(CNG)を燃料としているため、RNGも利用が可能です。バスに用いるRNGをディーゼル燃料に換算すると、年間約700万ガロンとなります。
RNGは化石燃料由来の天然ガスと比べてクリーンで、コスト削減も期待できるため、環境面と経済面で大きなメリットが生まれます。
RNGを地域循環型経済のモデルに
VIAはRNGプロジェクトの共同事業者であるRepublic Services、EDL、CPS Energyの3社とともに、テスマン・ロード再生可能天然ガス(RNG)施設の3周年を祝いました。
この4者間のパートナーシップは、廃棄物を地域内で消費できるクリーンエネルギーに転換する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の理想的なモデルと言えます。
VIA Newsroom:Clean energy project turns trash into renewable natural gas
アメリカでは温室効果ガスの削減が政策課題となっており、RNGを農業廃棄物や下水汚泥などから精製して、エネルギーとして活用する動きが進んでいます。
このRNGプロジェクトによって、メタンを大気放出せずにエネルギーとして有効活用できるため、サンアントニオ市全体の温暖化ガス排出量を大幅に削減することができます。