バイオガスプラントの導入は様々なメリットがありますが、初期投資の大きさが導入のハードルとなるケースも少なくありません。こうした課題を克服し、事業の採算性を高めるために不可欠なのが、国や自治体が提供する補助金・助成金制度の戦略的な活用です。

この記事では、バイオガスプラント導入に関連する支援策を解説し、申請から採択に至るまでの実務ポイントをご紹介します。

目次

補助金・助成金の全体像と最新公募スケジュール

バイオガスプラント導入における初期投資負担を軽減し、事業の早期黒字化を後押しするため、国、地方自治体、関連業界団体は多様な補助金・助成金制度を用意しています。これらの支援策を効果的に活用することが、事業成功の鍵となります。

日本の「2050年カーボンニュートラル」目標達成に向け、再生可能エネルギー導入加速は国策として推進されています。経済産業省資源エネルギー庁の資料によれば、バイオマスエネルギーは安定的な発電が可能なベースロード電源として期待されており、その導入支援は重点課題の一つです。

補助金・助成金は、こうした政策目標を実現するための重要なインセンティブであり、事業者が初期投資リスクを低減し、投資回収期間を短縮することを可能にします。

国・自治体・業界団体が提供する主な支援策一覧

バイオガスプラント導入に活用できる支援策は様々です。以下に主な提供主体と支援策の例を挙げます。

提供主体主な支援策の例概要
経済産業省 (METI)
新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)
事業再構築補助金(グリーン成長枠)、バイオマスエネルギー導入促進事業など技術開発、実証、設備導入に対する支援。大規模プロジェクトや革新的な技術導入を後押しするものが多い。
農林水産省 (MAFF)バイオマス産業都市構想支援事業、家畜排せつ物処理施設整備事業、畜産クラスター関連事業、食品リサイクル関連設備導入支援など農業・食品産業由来のバイオマス資源活用に特化した支援。農山漁村の活性化や環境保全を目的とするものが多い。
環境省 (MOE)廃棄物処理施設整備事業、地域資源循環システム構築支援、J-クレジット制度関連支援など廃棄物の適正処理とリサイクル推進、温室効果ガス排出削減に資する設備導入支援。
地方自治体 (都道府県・市町村)再生可能エネルギー設備導入補助金、固定資産税の減免措置、低利融資制度の斡旋など国の制度に上乗せする形での支援や、地域の実情に合わせた独自の支援策。
業界団体・その他(例)一般社団法人日本有機資源協会などによる情報提供やコンサルティング支援技術指導や事業化支援、最新情報の提供など。

注意: 各制度の名称や内容は年度によって変更される可能性があるため、必ず最新の公募情報を確認してください。

年度予算と公募の受付期間をチェックする方法

補助金・助成金の多くは年度予算に基づいて実施され、公募期間が限定されています。そのため、計画段階から情報収集を怠らないことが重要です。

  • 各省庁のウェブサイト: 経済産業省、農林水産省、環境省などの公式サイトでは、関連補助金の公募情報が予告・掲載されます。「調達・補助金」「政策分野」といったセクションを確認しましょう。
  • 執行団体のウェブサイト: NEDO、一般社団法人環境パートナーシップ会議(EPC)、地方の再生可能エネルギーセンターなどのウェブサイトも重要な情報源です。メールマガジンに登録しておくと、最新情報を見逃しにくくなります。
  • J-Net21(中小企業基盤整備機構): 中小企業向けの補助金・助成金情報が網羅的に掲載されています。
  • 補助金ポータルサイト: 「ミラサポplus(中小企業庁)」や民間の補助金情報サイトも参考になります。
  • 業界団体やコンサルタントからの情報: 専門のコンサルタントや業界団体は、公募情報を早期にキャッチしている場合があります。

公募期間は数週間から1ヶ月程度と短い場合もあるため、事業計画の準備を並行して進め、公募開始後すぐに申請できるよう体制を整えておくことが肝心です。

特に2025年度の予算に関連する公募は、2025年初頭から春先にかけて情報が出始めることが多いですが、補正予算などによる追加公募もあり得ますので、年間を通じてアンテナを張っておきましょう。

事業再構築補助金:事業再構築補助金 成長分野進出枠(GX進出類型)

NEDO:NEDO グリーンイノベーション基金

J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]:支援情報の検索|支援情報ヘッドライン

経済産業省 中小企業庁:ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト

補助上限額・自己負担率など基本要件の整理

補助金・助成金を利用する際には、基本的な要件を正しく理解しておく必要があります。

  • 補助対象者: 法人格(株式会社、合同会社、NPO法人など)、地方公共団体、農業者団体など、制度によって対象者が異なります。
  • 補助対象事業: バイオガスプラントの新規導入、既存設備の改修・増設、関連技術の実証など、事業内容が限定されます。
  • 補助対象経費: 設備費、工事費、設計費、調査費などが一般的ですが、土地取得費や運転資金、汎用的な事務機器などは対象外となることが多いです。消費税の扱いも制度によって異なるため注意が必要です。
  • 補助率: 対象経費のうち、補助金で賄われる割合です。例えば「1/2以内」「2/3以内」のように設定されます。
  • 補助上限額: 1事業あたりに交付される補助金の最大額です。補助率が高くても、上限額が低い場合は自己負担が大きくなることもあります。
  • 自己負担: 補助対象経費から補助金額を差し引いた、事業者が負担する金額です。この資金調達計画も審査の対象となります。
  • 事業実施期間: 補助金の交付決定から事業完了(設備導入、支払い完了、実績報告など)までの期間が定められています。

これらの要件は、各制度の公募要領に詳細に記載されています。申請前に必ず熟読し、不明な点は事務局に問い合わせることが重要です。

経済産業省・NEDOの再エネ導入補助を活用する

経済産業省およびその所管法人であるNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、「エネルギー基本計画」に基づき、再生可能エネルギーの主力電源化を目指しています。

NEDOは、バイオマスエネルギーのポテンシャルを最大限に引き出すための技術開発戦略の策定や、革新的な技術開発・実証プロジェクトへの資金提供を行っています。

例えば、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業」のような大規模な取り組みも、こうした政策背景に基づいており、バイオガスプラント関連では、特に事業規模が大きいものや、先進的な技術開発・実証を伴うものが対象となるケースが多く見られます。

また、NEDOの支援は、単なる設備導入費用の補助だけでなく、事業化に向けた技術的アドバイスや進捗管理も伴うため、プロジェクトの成功確度を高める効果も期待できます。

事業再構築補助金「グリーン成長枠」の適用条件

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響で経営環境が変化した中小企業等が、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に挑戦するのを支援する制度です。

その中でも「グリーン成長枠」は、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組を支援するもので、バイオガスプラント導入も対象となる可能性があります。

グリーン成長枠の主な適用条件

  • 対象者: 中小企業等。
  • 事業計画: 認定経営革新等支援機関と共同で策定し、事業再構築指針に沿ったものであること。
  • グリーン成長要件: グリーン成長戦略「実行計画」14分野のいずれかの課題解決に資する取組であること。バイオガス関連では「エネルギー関連産業(次世代型太陽光、洋上風力、バイオマス等)」などが該当し得ます。
  • 売上高減少要件: 通常枠では売上高減少要件がありますが、グリーン成長枠では緩和または不要となる場合があります(公募回により異なるため確認要)。
  • 補助上限額・補助率: 企業規模や申請枠により異なりますが、比較的大規模な投資に対応できる場合があります。中小企業で最大1億円、中堅企業で最大1.5億円、補助率は1/2(大規模な賃金引上げを行う場合は2/3)といった例があります。
  • その他: 投資額が一定規模以上であること、給与支給総額を増加させることなどが求められる場合があります。

バイオガスプラント導入が、既存事業からの転換や新規事業としての位置づけ、かつCO2削減やエネルギー自給率向上に貢献する場合、本枠での申請を検討する価値があります。

事業計画においては、どのようにグリーン成長に貢献するのかを具体的に示すことが重要です。

NEDO「バイオマスエネルギー技術革新事業」の採択ポイント

NEDOは、バイオマスエネルギーの利用拡大とコスト低減を目指し、革新的な技術開発や実証研究を支援する事業を数多く手掛けています。

「バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業」や「バイオ燃料導入促進事業」など、具体的な事業名は年度や政策動向により変遷しますが、共通する採択のポイントは以下の通りです。

  • 技術的新規性・優位性: 既存技術と比較して、効率、コスト、環境負荷低減などの面で明確な優位性があるか。革新的なアイデアや独創的なアプローチが評価されます。
  • 事業化・普及の可能性: 開発される技術やシステムが、将来的に広く普及し、日本のバイオマスエネルギー導入目標達成に貢献できるか。市場規模や経済的波及効果の見通しも重要です。
  • CO2削減効果: プロジェクトが実現した場合の温室効果ガス削減ポテンシャルが定量的・客観的に示されているか。
  • 事業実施体制: 研究開発、設備設計・導入、運転管理、事業評価などを遂行できる適切な人員、組織、連携体制(産学官連携など)が構築されているか。
  • リスク管理: 技術的リスク、経済的リスク、社会的リスクなどを事前に分析し、対応策が検討されているか。
  • 費用対効果: 投じられる国費に対して、得られる成果(技術的進展、経済効果、環境効果など)が大きいか。

過去の採択テーマとしては、未利用バイオマスの効率的な収集・前処理技術、高効率メタン発酵技術、バイオガス精製・利用技術、地域エネルギーシステムの最適化などが挙げられます。

公募要領で示される研究開発課題や政策的背景を深く理解し、それに合致した提案を行うことが採択への近道です。

補助率と対象経費の範囲を正しく見積もる手順

経済産業省やNEDOの補助金は、一般的に補助率が高く、対象となる事業規模も大きい傾向がありますが、対象経費の範囲を正確に把握し、適切に見積もることが不可欠です。

  1. 公募要領の熟読: まず、応募を検討している補助事業の公募要領や交付規程を徹底的に読み込み、補助対象となる経費の定義、対象外となる経費の例を正確に把握します。
  2. 見積書の取得: 補助対象となる設備や工事については、原則として複数の業者から相見積もりを取得します。これにより、価格の妥当性を確保し、補助金申請時の添付書類としても必要となります。
  3. 経費の積算と区分: 取得した見積書に基づき、各経費項目を公募要領の費目に沿って積算します。消費税の扱い(補助対象となるか否か)も確認が必要です。
  4. 補助金額の算出: 積算した補助対象経費の合計額に、定められた補助率を乗じて補助申請額を算出します。ただし、補助上限額を超えない範囲となります。
  5. 自己負担額の確認: 総事業費から補助申請額を差し引いた自己負担額を算出し、その資金調達計画(自己資金、融資など)を明確にします。

補助対象・対象外の例

  • 対象経費の例: 機械装置費、プラント建設工事費、設計・監理費、技術導入費、実証試験費、調査費、専門家謝金・旅費など。
  • 対象外経費の例: 土地取得費・造成費、申請書類作成費用、汎用的な事務用品費、運転資金(原料費、光熱費など)、補助金交付決定前の発注・契約にかかる費用(事前着手承認を得ている場合を除く)。

見積もりは、過大でも過少でも問題となる可能性があります。客観的根拠に基づいた正確な積算が求められます。不明な点は、早めに事務局に問い合わせるのが賢明です。

農林水産省系バイオマス関連助成で設備費を圧縮

農林水産省は、食料の安定供給、農山漁村の振興、環境保全といった観点から、バイオマスの利活用を多角的に支援しています。

特に家畜排せつ物、食品廃棄物、間伐材といった農林水産業に由来するバイオマス資源のエネルギー利用やマテリアル利用を推進するための助成制度が充実しており、これらを活用することでバイオガスプラントの設備投資負担を軽減できます。

農林水産省は「みどりの食料システム戦略」において、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化を目指すとともに、バイオマス資源のフル活用による地域内での資源循環システムの構築を推進しています。

家畜排せつ物の適正処理と資源化、食品ロスの削減と再生利用は、環境負荷低減だけでなく、農業経営の安定化にも繋がる重要な取り組みです。これらの政策目標を達成するため、バイオガスプラントのような再生可能エネルギー施設や有機肥料製造施設の導入に対し、手厚い支援が行われています。

バイオマス産業都市支援事業の要件と採点基準

バイオマス産業都市は、地域のバイオマスを活用した産業創出と、地域循環型のエネルギーシステムの構築を目指す地域です。

その基本となる「バイオマス産業都市構想」は、市町村または複数の市町村が共同で策定し、その実現に向けた取り組みを関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が支援します。

一般社団法人日本有機資源協会:バイオマス産業都市構想の策定支援

バイオマス産業都市の主な要件

  • 構想の策定主体: 市町村または複数の市町村による共同提案。
  • 地域協議会の設置: 地域の多様な関係者(農林漁業者、事業者、金融機関、大学、住民など)が参画する協議会を設置し、構想策定から事業推進まで主体的に関与すること。
  • バイオマスの網羅的・持続的活用: 地域に賦存する多様なバイオマス(農業残渣、食品廃棄物、林地残材、家畜排せつ物など)の種類、量、賦存場所を把握し、それらをエネルギーや製品として持続的に利用する具体的な計画があること。
  • 事業化プロジェクトの具体性: 構想実現の中核となる複数の事業化プロジェクト(例:バイオガス発電事業、木質バイオマス熱供給事業、バイオマス由来製品製造事業など)が明確であり、それぞれの事業主体、資金計画、スケジュールが具体的であること。
  • 経済性・自立性: 各事業化プロジェクトが経済的に自立可能であり、地域経済への波及効果(雇用創出、関連産業の振興など)が見込まれること。

バイオマス産業都市の採点基準(評価のポイント)

  • 構想の熟度と実現可能性: 目標設定の妥当性、事業計画の具体性、関係者の合意形成状況。
  • 地域の特色・強みの活用: 地域のバイオマス資源や産業構造、技術シーズなどを活かした独自性のある取り組みか。
  • 環境負荷低減効果: CO2削減効果、廃棄物削減効果、化石燃料代替効果などが定量的・具体的に示されているか。
  • 地域への波及効果: 雇用創出、所得向上、地域ブランド力の向上、防災機能の強化など、多面的な地域活性化への貢献度。
  • 推進体制の確立: 地域協議会の機能性、リーダーシップ、関係機関との連携体制。

バイオマス産業都市に認定されると、関係府省の各種支援策(補助金、情報提供、専門家派遣など)を優先的に活用できるメリットがあります。バイオガスプラント事業を地域全体の資源循環システムの中に位置づけ、多角的な効果をアピールすることが採択の鍵となります。

畜産クラスター・家畜排せつ物処理施設整備補助

畜産クラスター事業は、地域の畜産農家や関連事業者が連携・集積し、生産から販売に至るバリューチェーン全体で収益力向上を目指す取り組みを支援するものです。

この中で、家畜排せつ物の共同処理施設の整備(バイオガスプラントを含む)は重要な柱の一つです。

畜産クラスター事業の主な支援内容

  • 対象施設: 共同利用型の家畜排せつ物処理施設(堆肥化施設、バイオガスプラント、汚水処理施設など)、飼料生産施設、畜産物処理加工施設など。
  • 補助対象者: 畜産クラスター協議会に参画する農業者団体、農協、民間事業者など。
  • 補助率・上限額: 事業内容や地域によって異なりますが、例えば施設整備費の1/2以内といった支援が一般的です。

畜産クラスター事業のポイント

  • 広域連携: 複数の市町村にまたがる広域的な連携によるスケールメリットの追求。
  • 糞尿の資源化: 単なる処理に留まらず、発電、熱利用、有機肥料化などによる高付加価値化。
  • 環境負荷低減: 臭気対策、水質汚濁防止、温室効果ガス削減への貢献。
  • 耕畜連携: 生成された堆肥や液肥を地域の耕種農家が利用する循環システムの構築。

家畜排せつ物を原料とするバイオガスプラントは、処理コストの削減、エネルギー創出、良質な肥料生産といったメリットを畜産農家にもたらすため、これらの補助事業の活用は非常に有効です。

事業計画においては、クラスター全体の収益性向上や地域農業の持続可能性への貢献を明確に示すことが求められます。

地域農業再生プロジェクトとの組み合わせ事例

農林水産省では、地域の創意工夫を活かした農業再生の取り組みを支援する様々なプロジェクト型事業を展開しています。これらとバイオマス利活用を結びつけることで、相乗効果が期待できます。

地域農業再生プロジェクトの例

  • 耕作放棄地の再生とエネルギー作物栽培: 耕作放棄地を活用してエリアンサスやソルガムといったエネルギー作物を栽培し、それを原料としてバイオガスプラントでエネルギー化するプロジェクト。地域の景観保全、雇用創出、エネルギー自給率向上に貢献。
  • 鳥獣被害対策とバイオマス利用: 捕獲したシカやイノシシなどの鳥獣を、適切に処理した上でバイオガスプラントの原料の一部として活用する試み(レンダリング処理後の残渣など)。鳥獣被害対策と廃棄物削減、エネルギー回収を同時に実現。
  • 食品ロス削減と地域内リサイクル: 地域の食品関連事業者や農産物直売所などから発生する未利用食品や調理くずを収集し、バイオガスプラントでエネルギーと液肥に転換。液肥を地域の農地で利用することで、食品リサイクルループを構築。

これらのプロジェクトは、単独の補助事業としてではなく、「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」や「農山漁村振興交付金」といった交付金事業のメニューの一つとして実施されることが多いです。地域の課題解決とバイオマス利用のメリットを組み合わせたユニークな事業提案が、採択の可能性を高めます。

自治体独自助成+金融支援を組み合わせる資金調達

国の補助金は大規模なものが多く競争も激しいため、これだけに頼るのではなく、地方自治体(都道府県や市町村)が独自に提供する助成制度や、金融機関による環境配慮型融資などを組み合わせることで、より厚みのある資金調達戦略を構築することが可能です。

地方自治体は、国のエネルギー政策や環境政策を踏まえつつ、それぞれの地域の実情や産業特性に応じた独自の再生可能エネルギー導入目標や環境ビジョンを掲げています。これらの目標達成を後押しするため、きめ細かい助成制度や税制優遇措置を設けている場合があります。

また、近年ESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)が拡大する中で、金融機関も環境負荷低減に貢献する事業への融資(グリーンローンなど)を積極的に展開しており、これらはバイオガスプラントのような環境配慮型事業にとって有利な資金調達手段となり得ます。

都道府県の再エネ推進補助と申請フロー

多くの都道府県では、地球温暖化対策計画や再生可能エネルギー導入促進条例などに基づき、独自の補助制度を設けています。

  • 対象事業: 太陽光発電、風力発電、中小水力発電と並び、バイオマスエネルギー(バイオガス発電・熱利用を含む)も対象となることがあります。
  • 補助内容: 設備導入費の一部補助が中心ですが、フィージビリティスタディ(FS)調査費用の補助や、専門家派遣などのソフト支援もあります。
  • 補助率・上限額: 国の補助金よりは小規模なものが多いですが、利用しやすい条件(例:補助率1/3、上限500万円など)の場合もあります。
  • 申請窓口: 都道府県の環境政策課、エネルギー政策課、産業振興課などが担当していることが多いです。

再エネ推進補助の一般的な申請フロー

  1. 情報収集: 都道府県のウェブサイトや広報で公募情報を確認。
  2. 事前相談: 担当窓口に事業計画を説明し、補助対象となるか、申請書類の留意点などを相談。
  3. 申請書類作成: 事業計画書、見積書、図面、法人登記事項証明書、納税証明書など、指定された書類を準備。
  4. 申請: 公募期間内に申請書類を提出。
  5. 審査: 書類審査、場合によってはヒアリングや現地調査。
  6. 交付決定: 採択されると交付決定通知書が送付されます。原則として、この通知後に事業に着手します。
  7. 事業実施・実績報告: 事業完了後、実績報告書と経費の証拠書類を提出。
  8. 額の確定・補助金交付: 検査を経て補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます。

国の補助金との併用については、財源が異なるため可能な場合もありますが、必ず各補助金の公募要領で確認が必要です。

補助金と金融支援の資金調達例

小規模な食品加工業者が、木質バイオマスボイラーと小規模バイオガスプラントを導入した事例です。

まず、県の実施する「中小企業向け省エネルギー設備導入補助金」でボイラー導入費用の一部を確保し、市が独自に設けていた「再生可能エネルギー設備導入奨励金」でバイオガスプラントの付帯設備費用を補助金でまかないました。

さらに、プラント建設に必要な自己資金の一部については、地元信用金庫が提供する「環境応援ローン(低利融資)」を利用しました。

国の補助金には採択されませんでしたが、これら複数の支援を組み合わせることで、初期投資の大幅な負担軽減と円滑な資金調達を実現し、事業を開始することができました。

市町村の設備導入奨励金・固定資産税軽減

市町村レベルでも、独自の奨励金や税制優遇措置が用意されていることがあります。これらは、地域産業の振興や雇用創出、定住促進といった目的と合わせて実施されることが多いです。

市町村奨励金の例:

  • 設備投資奨励金: 一定額以上の設備投資を行った事業者に対し、投資額の一部を奨励金として交付。
  • 雇用奨励金: 新規雇用者数に応じて奨励金を交付。
  • 利子補給制度: 金融機関から設備資金を借り入れた場合、その利子の一部を市町村が補給。

固定資産税の軽減措置:

  • 課税免除・不均一課税: 「地方税法」に基づくわがまち特例(地域決定型地方税制特例措置)などを活用し、再生可能エネルギー発電設備等にかかる固定資産税を一定期間減免(例:最初の3年間は1/2に軽減など)。
  • 適用を受けるには、市町村への申請と認定が必要です。

これらの制度は、各市町村の産業振興課や税務課が窓口となっていることが多く、規模は小さくとも、複数組み合わせることで大きな支援となる可能性があります。プラント建設地の市町村にどのような制度があるか、積極的に情報収集しましょう。

環境配慮型融資(グリーンローン)の利用メリット

グリーンローンとは、調達資金の使途が環境改善効果のあるグリーンプロジェクト(再生可能エネルギー事業、省エネルギー事業、環境汚染防止事業など)に限定される融資のことです。バイオガスプラント事業は、このグリーンプロジェクトの典型例と言えます。

グリーンローン利用のメリット:

  • 資金調達の円滑化: 金融機関がESG投融資を重視する中で、環境貢献度の高い事業は融資審査において有利に働く可能性があります。
  • 金利優遇の可能性: 一部の金融機関では、グリーンローンに対して通常よりも低い金利を設定している場合があります。
  • 企業イメージの向上: グリーンローンを利用することで、環境問題に積極的に取り組む企業としての姿勢を内外にアピールでき、企業価値向上に繋がる可能性があります(サステナビリティ経営の実践)。
  • 資金使途の透明性確保: 資金使途や環境改善効果について定期的なレポーティングが求められることが多く、事業の透明性・信頼性が高まります。

他にも、事業活動全体がサステナビリティ目標達成に貢献する場合に利用できる「サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」などもあります。

利用にあたっては、事業計画において、その事業がもたらす具体的な環境改善効果(CO2削減量、廃棄物削減量など)を定量的に示し、融資担当者に説明できるように準備しておくことが重要です。多くの金融機関が相談窓口を設けていますので、まずは相談してみましょう。

FIT・FIP・Jクレジットと補助金で収益を最大化

バイオガスプラントの導入にあたっては、初期投資を補助金で軽減するだけでなく、運転開始後の収益性をいかに高めるかが事業の成否を分けます。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)やフィードインプレミアム制度(FIP)は、再生可能エネルギーの導入を促進し、発電事業者の投資回収リスクを低減するために国が設けた支援策です。

これにより、バイオガス発電で得られる電力に一定期間、有利な価格が保証されたり、市場価格に上乗せする形でプレミアムが交付されたりします。

また、環境価値を取引するJ-クレジット制度は、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証し、他の企業などとの間で売買できるようにするもので、バイオガス利用によるCO2削減効果を新たな収益源に変えることができます。

これらの制度を最大限に活用することで、補助金による初期コストダウン効果に加えて、キャッシュフローを最大化し、事業の持続可能性を高めることができます。

なお、FIT・FIP単価は年度ごとに変動します。買取価格や期間等の最新情報は、必ず資源エネルギー庁の情報を確認してください。

FIT・FIP制度の詳細は、資源エネルギー庁の資料「FIT・FIP制度ガイドブック」をご参照ください。

資源エネルギー庁:再生可能エネルギー – FIT・FIP制度 ガイドブック

FIT・FIP制度の1kWhあたり調達価格/基準価格は、以下に記載されています。

資源エネルギー庁:買取価格・期間等|FIT・FIP制度

バイオガス発電FIT単価と10年間収益試算

FIT(Feed-in Tariff:固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める価格で一定期間(バイオガス発電の場合は通常20年間)、電力会社が買い取ることを義務付ける制度です。バイオガス発電の買取価格は、原料の種類や発電規模によって異なります。

2025年の一般的なFIT単価の例として、バイオマス由来の食品廃棄物・家畜排せつ物・下水汚泥から発生したメタン発酵ガスは、35円/kWhとなっています。

10年間のFIT収益試算例(簡略化)

仮に、設備利用率80%、発電出力200kW、年間運転時間8,760時間のバイオガスプラントで、FIT単価が35円/kWhの場合。

  • 年間発電量:200kW × 8,760時間 × 80% = 1,401,600 kWh/年
  • 年間売電収入:1,401,600 kWh/年 × 35円/kWh = 49,056,000円/年
  • 10年間累計売電収入:49,056,000円/年 × 10年 = 490,560,000円

この試算は、自家消費分を考慮せず、買取価格も一定とした場合の単純計算です。実際には、自家消費電力の割合、メンテナンスによる停止期間、買取価格の改定(新規認定案件に対して)、経年劣化による発電効率の低下なども考慮する必要があります。

事業計画では、より詳細な条件設定に基づいた収益シミュレーションが不可欠です。

FIP移行でのプレミアム設定と市場価格リスク

FIP(Feed-in Premium:フィードインプレミアム制度)は、FIT制度に代わる新たな支援制度として、一定規模以上の発電設備(例:1,000kW以上、バイオマスは50kW以上なども対象になりうる)から順次導入が進んでいます。

FIP制度では、発電事業者は卸電力市場などで電力を販売し、その市場価格に加えて、国が定める基準価格(FIP価格)と市場価格(参照価格)の差額に応じたプレミアム(補助額)が交付されます。

FIP制度の特徴とリスク:

  • 市場連動: FIT制度のような固定価格ではなく、市場価格の変動が直接収益に影響します。市場価格が高い時は収益が増加する可能性がありますが、低い時は減少するリスクがあります。
  • プレミアム: プレミアム額は、市場価格が低いほど高く、高いほど低くなる(場合によってはゼロになる)ように調整されます。これにより、一定の収益安定性は確保されます。
  • 発電事業者の役割拡大: FITでは電力会社に売電するだけでしたが、FIPでは自ら市場で売電する、あるいはアグリゲーター(複数の再エネ電源を束ねて市場取引を行う事業者)に委託するなどの対応が必要になります。インバランスリスク(発電計画と実績のズレによるペナルティ)も考慮しなければなりません。

FIP制度への移行は、発電事業者にとってより市場原理に基づいた事業運営が求められることを意味します。市場価格の予測、適切な販売戦略、リスクヘッジなどが重要となります。

自家消費+余剰売電モデルでキャッシュフロー改善

バイオガスプラントで発電した電力や発生した熱を、まず自社の工場や施設で自家消費し、余った電力をFITやFIPを利用して売電する「自家消費+余剰売電モデル」は、キャッシュフロー改善に有効な手段です。

電力自家消費のメリット

  • 電力購入コストの削減: 自家消費により、電力会社から購入する電力量を減らすことができ、電気料金を大幅に削減できます。特に電力価格が高騰している状況では、その効果は大きくなります。
  • エネルギーコストの安定化: 外部の電力価格変動の影響を受けにくくなります。
  • 熱エネルギーの有効活用: 発電時の排熱を発酵槽の加温、施設の暖房・給湯、乾燥プロセスなどに利用することで、別途必要だった熱源コスト(燃料費など)も削減できます。
  • BCP(事業継続計画)対策: 災害時などに系統電力が停止した場合でも、自家発電設備があれば事業活動を継続できる可能性があります(自立運転機能が必要)。
  • 環境貢献のアピール: 再生可能エネルギーの自家消費は、CO2排出量削減に直接的に貢献するため、企業の環境イメージ向上に繋がります。

蓄電池を導入し、発電量が需要を上回る時間帯に余剰電力を貯蔵し、需要が多い時間帯や電力単価が高い時間帯に放電して自家消費率をさらに高める、あるいは系統安定化に貢献するといった高度なエネルギーマネジメントも可能です。

補助金併用時の重複受給規定に注意

バイオガスプラント導入に際して複数の補助金・助成金を活用しようとする場合、重複受給に関する規定に十分注意する必要があります。

  • 同一設備・同一経費に対する国庫補助金の重複禁止: 原則として、同じ設備や経費に対して、財源が国庫である複数の補助金を重複して受給することはできません。例えば、経済産業省のA補助金と農林水産省のB補助金の両方で、同じバイオガス発電設備の購入費用を補助対象とすることはできません。
  • 財源が異なる場合の併用可能性: 国の補助金と、地方自治体(都道府県や市町村)が独自財源で実施している補助金であれば、併用が認められる場合があります。ただし、これも各補助金の公募要領や交付規程で確認が必要です。
  • 補助対象範囲の切り分け: どうしても複数の補助金を利用したい場合、補助対象となる設備や経費の範囲を明確に切り分け、重複しないように申請する必要があります(例:A補助金では発電設備、B補助金では前処理設備を対象とするなど)。ただし、このような切り分けが認められるかは制度によります。
  • 情報共有の義務: 他の補助金の受給状況について、申請時や実績報告時に申告を求められることが一般的です。虚偽の申告は不正受給とみなされ、補助金の返還や加算金、さらには刑事罰の対象となる可能性もあります。

不明な点や判断に迷う場合は、必ず各補助金の事務局に事前に相談し、指示を仰ぐようにしてください。

申請書類作成・採択率アップのための実務ポイント

補助金・助成金の申請は、単に必要な書類を揃えるだけでなく、審査員の視点を理解し、事業の魅力や実現可能性を的確に伝える「プレゼンテーション」の場でもあります。

補助金は税金を原資としており、その交付には公平性・透明性・客観性が求められます。審査員は、公募要領に示された審査基準に基づき、事業の社会貢献度、実現可能性、経済的効果、継続性などを多角的に評価します。

したがって、申請書類はこれらの評価項目に対して、具体的かつ説得力のある情報を提供する必要があります。中小企業庁の調査などでも、採択される事業計画には、明確な目標設定、具体的な実行計画、客観的なデータに基づく分析などが共通して見られるとされています。

事業計画書・収支シミュレーションの作成手順

事業計画書と収支シミュレーションは、補助金申請における最重要書類です。

事業計画書の構成要素と作成手順

  1. 事業の背景と目的: なぜこの事業を行うのか?(例:地域の廃棄物問題解決、再生可能エネルギー導入、経営多角化など)。現状の課題と、事業実施による解決策を明確にします。
  2. 事業内容・実施体制: 具体的に何を行うのか?(導入するプラントの規模、技術的特徴、処理フロー、生産物(電力、熱、液肥等)の利用計画など)。事業を遂行するための組織体制、人員配置、関係機関との連携体制も示します。
  3. 市場環境・競合分析: (もし売電や液肥販売など外部市場が関わる場合)市場規模、ターゲット顧客、競合の状況、自社の強みや差別化ポイントを分析します。
  4. スケジュール: 設備導入、運転開始、各種許認可取得などのマイルストーンを明確にした実行スケジュールを作成します。
  5. 資金計画: 総事業費の内訳、補助金申請額、自己資金額、借入予定額など、資金調達計画を具体的に示します。
  6. 事業効果: 定量的な効果(CO2削減量、廃棄物削減量、エネルギー自給率向上など)と定性的な効果(地域活性化、雇用創出、企業イメージ向上など)を記述します。

収支シミュレーションの作成手順:

  1. 前提条件の設定: 売電単価、設備利用率、原料調達コスト、人件費、修繕費、薬剤費、廃棄物処理費、借入金利など、収支に影響する全ての要素について、現実的かつ客観的な根拠に基づいた前提条件を設定します。
  2. 収入の予測: 売電収入、熱販売収入、液肥・堆肥販売収入、J-クレジット売却収入などを予測します。
  3. 支出の予測: 原料費、運転維持管理費(人件費、修繕費、光熱水費、消耗品費など)、借入金返済、税金などを予測します。
  4. 損益計算書・キャッシュフロー計算書の作成: 通常、事業開始後5年~10年程度の期間について、単年度および累計の損益とキャッシュフローをシミュレーションします。
  5. 感度分析(リスク分析): 売電単価の変動、原料コストの上昇、設備利用率の低下など、主要な前提条件が変動した場合に収支がどの程度影響を受けるかを分析し、事業のリスク許容度を示します。

これらの書類は、図や表を効果的に活用し、審査員にとって分かりやすく、説得力のある内容に仕上げることが重要です。

環境効果・地域貢献を定量化する評価指標

補助金の審査では、事業がもたらす環境面や地域社会への貢献度も重要な評価ポイントとなります。これらを具体的に、できれば定量的に示すことが求められます。

環境効果の評価指標例

  • CO2排出削減量(t-CO₂/年): 化石燃料の代替、廃棄物削減によるメタンガス発生抑制効果などを基に算出。
  • 化石燃料削減量(原油換算 kl/年): 生成エネルギーによる化石燃料の使用削減量を換算。
  • 廃棄物削減量(t/年): バイオガスプラントで処理する有機性廃棄物の量。
  • リサイクル率向上(%): 地域全体または自社における有機性廃棄物のリサイクル率がどの程度向上するか。
  • 水質改善効果(BOD、COD削減量など): (排水処理を伴う場合)水質汚濁物質の削減量。

地域貢献の評価指標例

  • 雇用創出効果(人): プラント運営や関連事業による新規雇用者数。
  • 地域内経済循環効果(円/年): 地域からの原料調達額、地元企業への発注額、地域住民への利益還元など。
  • エネルギー自給率向上(%): 地域または自施設のエネルギー自給率がどの程度向上するか。
  • 防災拠点としての機能: 災害時のエネルギー供給拠点、避難所への熱・電力供給可能性など。
  • 環境教育・啓発効果: 施設見学の受け入れ人数、環境学習プログラムの実施回数など。
  • SDGs(持続可能な開発目標)への貢献: 事業がSDGsのどの目標達成に貢献するのかを具体的に示す(例:目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標12「つくる責任つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」など)。

これらの指標は、算出根拠を明確にし、可能な限り客観的なデータに基づいて示すことが重要です。

外部コンサル・専門家活用で採択率を高めるコツ

補助金申請書類の作成は専門的な知識やノウハウが求められるため、外部のコンサルタントや専門家を活用することも有効な手段です。

補助金申請の専門家

  • 補助金申請支援コンサルタント: 各種補助金の情報提供、事業計画書作成支援、申請手続き代行などを行う。
  • 中小企業診断士: 経営全般の知識を持ち、事業計画策定や資金調達支援に長けている。
  • 行政書士: 官公署に提出する書類作成の専門家。許認可申請なども含めてサポート。
  • 税理士・公認会計士: 財務計画や収支シミュレーションの作成、税務面でのアドバイス。
  • 技術コンサルタント(バイオガス分野): プラントの技術的妥当性や効率性評価、導入支援。

補助金専門家の活用で採択率を高めるコツ

  • 実績と専門性の確認: 依頼を検討している補助金分野やバイオガスプラント事業に関する支援実績が豊富かを確認する。
  • コミュニケーション能力: 自社の事業内容や想いを正確に理解し、それを的確に書類に落とし込んでくれるか。密なコミュニケーションが取れる相手を選ぶ。
  • 役割分担の明確化: 専門家に丸投げするのではなく、自社も主体的に関与し、事業内容やデータ提供などを積極的に行う。どこまでを依頼し、どこから自社で行うかを明確にする。
  • 費用対効果の検討: 依頼費用(着手金、成功報酬など)と、それによって得られる採択率向上の可能性や補助金額を比較検討する。
  • 複数の専門家から話を聞く: 可能であれば複数の専門家から提案や見積もりを取り、比較検討する。
  • 早めの相談: 公募開始直前ではなく、計画段階の早い時期から相談することで、より質の高い準備が可能になる。

専門家はあくまでサポーターであり、事業の主体は申請者自身です。専門家の知見を借りつつ、自社の強みや熱意が伝わる申請書類を作成することが、採択への近道となります。

補助金活用の参考事例

家畜排せつ物を利用したバイオガスプラント導入のため、地方の農事法人が農林水産省系の補助金に初めて申請しましたが、計画の具体性不足や収支計画の甘さを指摘され不採択となりました。

翌年度の再申請に向けて、この法人はまず不採択理由を詳細に分析し、地域バイオマス資源調査の徹底と、導入するプラントの技術的仕様や処理フローを具体化しました。

プラントの収支シミュレーションは、原料調達コストやメンテナンス費用、売電収入などを複数のシナリオで試算し、リスク分析も加えました。さらに、環境教育への活用や地域住民への理解促進活動など、地域貢献策も具体的に盛り込みました。

これらの改善に加え、補助金申請支援の経験が豊富な中小企業診断士にアドバイスを求め、申請書類のブラッシュアップを図った結果、無事採択を勝ち取りました。


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