カナデビアの100%子会社、Kanadevia Inova(カナデビア・イノバ)は2026年9月14日、オランダのバイオメタン開発・運営会社BioValue B.V.の事業会社について、経営支配権を取得したと発表しました。
取得の中心は、O&Mや設計・建設管理を担う23名の専門家チームと長期サービス契約です。あわせて、Cothen(コーテン)バイオメタン施設の残り15%の持分も取得します。
オランダでは2027年施行を目指すグリーンガス混合義務法案の審議が進んでおり、国内で生産されるグリーンガスをどう位置づけるかも論点になっています。
Kanadevia Inova:Kanadevia Inova acquires majority stake in Dutch biogas platform BioValue
カナデビア・イノバが取得したのはBioValueの運営チーム

事業は新会社「Kanadevia Inova BioValue」として運営されます。Kanadevia Inovaが過半数を出資し、残りは創業者Ids Schaap氏の保有会社が引き受け、Schaap氏はCEOを続投します。
出資比率および買収額は公表されていません。今回の取引対象は次のとおりです。
- アセットマネージャー、O&M技術者、設計・建設の専門家からなる23名のチーム
- 複数の長期サービス契約と、今後の設計・建設契約
- Cothenバイオメタン施設の残り15%の持分(本件と並行して取得)
BioValueは、複数拠点の施設を自社開発システムによって1カ所から遠隔管理し、施設の運営から原料調達、販売までを一括で手掛けてきました。
BioValue:Projects
既存の技術・管理チームは今後も顧客対応を継続するとされており、Kanadevia Inovaはこの運営ノウハウを顧客基盤ごと取り込んだ形です。
Iona Capital買収との違い 資産運用から現場の運営へ

Kanadevia Inovaは、2025年のIona Capital買収を機に、欧州で施設を保有・運営する事業を広げてきました。
Iona買収で得たのがアセットマネジメントの専門チームだったのに対し、今回はO&M技術者や設計・建設の専門家といった、現地で施設を動かす人材と契約を得た点が異なります。
| 時期 | 取得対象 | 得たもの |
|---|---|---|
| 2025年1月 | 英Iona Capitalと英国の稼働中11施設 | 施設とアセットマネジメント機能 |
| 2025年2月 | 蘭Groengas Cothenの過半数 | オランダの施設持分 |
| 2026年6月 | 伊シチリアの新設案件(90%) | 開発段階から保有する案件 |
| 2026年9月 | 蘭BioValue事業会社とCothen残り15% | 現地の運営・開発チームと契約 |
同社の稼働ポートフォリオは、現時点で英国・オランダ・ドイツ・イタリア・スウェーデン・米国の計17施設です。
オランダのグリーンガス混合義務とは 2027年施行を目指す
オランダでは、ガス網に注入するバイオメタンを「グリーンガス(groen gas)」と呼びます。
送配電事業者の業界団体Netbeheer Nederlandによると、2025年の生産量は3億3,600万m³で前年から14%増え、ガス網に直接供給する事業者は、92から108に増えました。
Netbeheer Nederland:Productie groen gas groeit in 2025 met 14 procent, aantal invoeders passeert de 100
政府は生産を増やすため、エネルギー供給事業者にグリーンガスの供給を義務づける法案を2026年5月20日に下院へ提出しました。9月7日には委員会で法案審議が行われ、審議は継続中です。

法案の骨子は次のとおりです。
- 2027年1月1日の施行を目指す
- 2031年にCO₂を285万t削減することが目標
- グリーンガスの量に換算すると、2027年の1億6,000万m³から、2031年以降は年8億4,000万m³
- 義務は2035年まで続く
- 達成は新設の「グリーンガス単位(GGE)」の提出で証明する。未達の場合はバイアウト料を支払う
Binnenlands Bestuur:Provincies dringen aan op bijmengverplichting groen gas
義務の達成に使う証書の仕組みについては、バイオメタンの環境価値とは?をご覧ください。
国外産も算入できるのか 審議中の修正案
当初の政府法案は、義務の対象をオランダ国内産のグリーンガスに限定していました。
しかし欧州委員会から「EU域内の物の自由移動を妨げる」との指摘を受け、国外産も算入可能な設計へと見直されました。
これに対し、2026年9月3日以降、議員側から複数の修正案が提出されています。
代表的なものが、対象を「国内施設で生産され、国内ガス網に注入されたグリーンガス」に限定する案と、供給義務を果たせなかった場合のバイアウト料に、1GGEあたり0.45ユーロの上限を設ける案です。
Tweede Kamer der Staten-Generaal:Wet bijmengverplichting groen gas
前者が採択されればオランダ国内の生産拠点の価値が一段と高まり、後者はGGE価格の実質的な上限として機能する可能性があります。
EU域内での越境取引の動きは、EUバイオメタン・メカニズム始動で取り上げています。
Cothenバイオメタン施設とは

Cothenは、ユトレヒト州ウェイク・バイ・ドゥールステーデ市にある共消化施設です。
BioValue:Groengas Cothen
Kanadevia Inovaによると、年間約9万tの原料から100GWhの再生可能エネルギーを生み出し、16カ月未満で試運転に到達しています。
BioValueによると、第1期は2025年春に完成して生産を始めており、液化CO₂設備(年1万t)とミネラル処理ラインを加える第2期も計画されています。
建設資金を提供したSTX Groupはこの融資について、固定価格のオフテイク契約に縛られず、発展途上のバイオメタン市場の価格を取り込める構造だと説明しています。
STX Group:STX Group Announces Unique Financing Partnership With BioValue for Dutch Biomethane Plant
長期の固定価格で売り先を決めていない施設ほど、混合義務がつくるグリーンガス価格の影響を直接受けます。
なお、この施設は自然保護法上の許可をめぐり、周辺住民から取り消しを求められていましたが、国務院は2025年11月12日に住民側の主張を退け、ユトレヒト州が出した許可を維持しました。
今後の焦点 オランダ事業とCothen第2期の行方
Kanadevia Inovaは今回の買収を、北ヨーロッパでの足場を強め、自社のバイオガス・バイオメタン施設を改修・拡大するための一歩と位置づけています。
BioValueは2025年時点で、稼働中の4施設と建設・開発中の案件を持つとされていました。
Kanadevia Inova:Kanadevia Inova takes majority stake in Dutch biomethane facility
続報では、施設や案件がBioValueからKanadevia Inovaに移るのか、Cothen第2期の動向、そして混合義務法案が国外産の算入をどう扱って成立するかが焦点となります。
e-メタン・バイオメタンを詳しく知る

メタネーション技術の基本
メタネーションとは? 仕組みと種類・実用化
e-メタンとバイオメタンの違い
e-メタン(合成メタン)とは? 作り方や課題
メタネーションのデメリット
エネルギー変換効率の限界とコストの課題
日本企業の技術開発動向
企業のメタネーション実用化事例と技術比較バイオガスプラントのご相談はお気軽に

プロジェクトの事前調査
事業実現性を検証するため、事業性評価(FS)や各種規制、FIT・FIP、補助金の調査を行います。
バイオガスプラントの設計施工
バイオガスプラントの設計から施工まで、プラント工事に関する関連業務を支援します。
設備・CHPの保守メンテナンス
バイオガスプラントを安定的に運転するため、設備機器やCHPの保守メンテナンスを行います。

