Kanadevia Inovaがイタリアでバイオメタンプラント新設

Kanadevia Inovaがイタリアでバイオメタンプラント新設

カナデビア株式会社の100%子会社で、スイスを拠点とするKanadevia Inova(カナデビア・イノバ)は、イタリアのシチリア州にてバイオメタン製造プラントを新設します。

この事業はDFBOOモデルで運営され、施設の設計・調達・建設(EPC)だけでなく、20年間にわたる長期的な運転・保守(O&M)もKanadevia Inovaが担います。

プラントでは、都市ごみに含まれる食品廃棄物や剪定残渣など、年間約63,000トンの廃棄物を処理し、年間約442万Sm³のバイオメタンを生産する計画です。

カナデビア ニュースリリース:Kanadevia Inova がイタリアでバイオメタンガス事業を実施

シチリアのバイオメタン事業 DFBOOモデル運営

カナデビア・イノバがシチリアでバイオメタン事業を開始

この事業は、カナデビア・イノバが地元のプロジェクト会社「Sicily Biomethan S.r.l.」の株式を90%取得し、開発から施設の保有・運営までを一貫して行うDFBOOモデルで進められます。

DFBOO(Design・Finance・Build・Own & Operate)とは、単なる施設の建設請負にとどまらず、自社で出資および所有し、長期にわたって稼働させる運営方式のことです。

建設地はシチリア州カステルヴェトラーノ(Castelvetrano)で、処理開始は2028年3月を予定しています。

原料となるのは、都市ごみから分別された有機性廃棄物(生ごみ)や食品廃棄物、剪定残渣などで、その量は年間63,000トンを超えます。

これらの廃棄物をメタン発酵させて、発生したバイオガスをさらに精製することで、都市ガスと同等以上の純度を持つバイオメタンへと転換します。

生産量は年間約442万Sm³(純エネルギー量で約45.1GWh)を見込んでおり、地域への再生可能エネルギーの供給と、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の推進に貢献します。

項目内容
建設地イタリア・シチリア州 カステルヴェトラーノ
事業主体Sicily Biomethan S.r.l.(カナデビア・イノバが90%出資)
事業形態EPC+20年間のO&M(DFBOO)
処理量約63,000トン/年(生ごみ・食品廃棄物・剪定残渣)
バイオメタン生産量約4,420,000Sm³/年(約45.1GWhネット)
処理開始2028年3月(予定)

湿式メタン発酵と膜分離アップグレーディング

このプラントでは、カナデビア・イノバ独自の湿式メタン発酵(Wet AD)技術でバイオガスを生成し、膜分離方式の精製システム「M-Series」で二酸化炭素を分離して、バイオメタンを精製します。

膜分離はアミン吸収法などと並ぶ代表的なガス精製方式であり、モジュール構造を採用しているため、処理量に合わせて設備を柔軟に設計できる点が利点です。

精製されたバイオメタンは、都市ガスの導管へ注入できる品質となり、副産物として発生するCO₂も産業用ガスとして回収し、有効活用することが可能です。

湿式と乾式(Kompogas®)の使い分け

カナデビアグループは、含水率の高い原料に適した湿式技術と、生ごみなど固形分の多い原料に適した乾式技術「Kompogas®」の両方を保有している点が強みです。

乾式技術は、2014年にスイスのAxpo社から、湿式技術は、2021年にドイツのSchmackグループから取得しており、原料の性質や状態に応じて最適な発酵方式を選択できます。

今回のシチリア案件は、都市ごみ由来で水分の多い有機性廃棄物を扱うため、湿式技術が採用されています。

Kanadevia Inova:Schmack wet anaerobic digestion

  • 湿式メタン発酵:含水率の高い食品廃棄物・有機性廃棄物に適する
  • 乾式(Kompogas®):固形分の多い生ごみ・剪定枝に適する
  • 膜分離(M-Series):導管注入グレードのバイオメタンを生成

イタリア・EUのバイオメタン政策 PNRRとDM2022

この事業は、イタリアのバイオメタン振興制度「DM2022(Decreto Biometano、循環型経済の促進基準に基づくバイオメタン開発)」を通じて進められます。

DM2022は、EUの復興基金「PNRR(復興・レジリエンス計画)」のミッション2(M2)・コンポーネント2(C2)・投資1.4(I1.4)の枠組みを財源として活用しています。

バイオメタン施設を新設・転換する際は、イタリアのエネルギーサービス管理公社(GSE)による競争入札を経て、制度が適用されます。

Euやイタリアがバイオメタンを推進する背景には、ロシア産化石燃料からの脱却を目指すEUの計画「REPowerEU」があります。

2030年までに、EU域内のバイオメタン生産量を年間350億m³(35bcm)まで拡大するという目標が、各国の政策や民間投資を強力に牽引しています。

参考記事:ヨーロッパのバイオメタン市場を知る 欧州バイオメタンマップ

イタリアは農業に由来するバイオガスの生産基盤が充実している一方で、近年は発電向けの固定価格買取制度(FIT)から、都市ガス導管へ注入するバイオメタン生産への転換が政策の主軸となっています。

今回のプロジェクトのように、都市ごみの有機物を原料とする案件は、廃棄物処理とエネルギー生産の課題を同時に解決する「都市型サーキュラーエコノミー」の典型例として位置づけられています。

カナデビアの欧州バイオメタン戦略と今後の展開

カナデビアは、子会社カナデビア・イノバを通じて、EPC(受注型)に偏らない安定した収益基盤の確立を目指しており、プラントの保有・運営から資産管理まで手がける「垂直統合型グリーンユーティリティ」への転換を進めています。

2024年のSchmack Biogas(イタリア)や、2025年のGroengas(オランダ)、Iona Capital(イギリス)といった企業買収は、その取り組みの一環です。

参考記事:カナデビアが英バイオガス大手を買収 欧州バイオガス事業を拡大

今回のシチリアでの案件は、既存施設の買収ではなく、自社が90%を出資してプラントを新設し、長期的に運営するという点で、同社の事業戦略が次の段階へ進んだことを示しています。

欧州のバイオメタン市場は、DM2022やREPowerEUといった政策を追い風に、今後も拡大が見込まれます。

カナデビアにとって、今回のシチリア案件は南欧での実績作りになるとともに、フランスやドイツに次ぐ主要な成長市場であるイタリアのプレゼンス(存在感)強化につながると考えられます。

Kanadevia Inova(カナデビア・イノバ)企業概要

カナデビアの100%子会社で、スイスに拠点を置くKanadevia Inovaは、ヨーロッパや北米・中東で、ごみ焼却発電やバイオガスプラントを手がけるグローバル企業です。

乾式および湿式の両発酵技術に加え、膜分離やCO₂回収までを一括して提供できる点が強みです。

参考記事:カナデビアのバイオガス事業概要と技術的強み

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