Anaergia Japan株式会社は2026年9月7日、同年10月7日から9日まで幕張メッセで開催される「第16回農業WEEK(J-AGRI)」への出展を発表しました。
今回の展示で目を引くのは、新設プラントの提案ではなく、稼働中設備の改修によって性能を引き上げる「リパワリング」です。
Anaergia Japan株式会社:アナージアジャパン 第16回 農業WEEK(J-AGRI)へ出展 | Anaergia Japan株式会社のプレスリリース
アナージアジャパンが農業WEEKで示す4つの提案

アナージアジャパンは、カナダに本社を置くAnaergia Inc.の日本法人として、2025年3月に設立されました。
今回の展示ブースで提示される柱は、以下の4点です。
- リパワリング:既存プラントの設備更新・性能向上
- バイオガスプラント:パッケージ型バイオガスシステム「SMART-D」の提案
- バイオガスサポート事業:プレFS・基本計画策定
- 消化液の有効利用:バイオ液肥・再生敷料製造システム
なかでも最前面に押し出されているのがリパワリングで、発酵槽を建て替えずに、設備の一部改修からプラント全体の高度化まで対応する改修手法です。
第16回農業WEEK(J-AGRI)開催概要
- 開催日時:2026年10月7日(水)~10月9日(金)10:00~17:00
- 会場:幕張メッセ 千葉県千葉市美浜区中瀬2-1
- アナージア出展ブース:展示ホール 7 ブース番号 24-10
- 入場料:無料(事前要登録)
- 会場アクセス:JR京葉線「海浜幕張駅」より徒歩約5分
- 展示内容:スマート農業製品、農業資材、畜産資材、6次産業化製品、脱炭素・SDGs製品など
RX Japan合同会社:農業WEEK【東京・九州・北海道】(J-AGRI)|日本最大の農業・畜産の展示会
なぜ既設バイオガスプラントに改修余地が残るのか

改修市場が成立する前提として、稼働中の設備が本来の性能を発揮し切れていない実態があります。
日本有機資源協会が調達価格等算定委員会へ提出した資料(2025年10月、第106回 資料4)によると、メタン発酵バイオガス発電の設備利用率は、中央値で0.62にとどまりました。
一般社団法人日本有機資源協会:バイオガス発電の自立化に向けた取組について
FIT等の調達価格算定における想定値は70%であり、実態は制度上の前提を下回っています。ただし、この中央値には、原料の受入契約が立ち上がる途中の稼働初期案件も含まれる点には留意が必要です。
では、稼働率を下げている要因は何か。アナージアジャパンが農畜産業振興機構の機関誌に寄せた記事から現場の課題を抜き出し、改修で対応できるかどうかで整理すると次のようになります。
独立行政法人 農畜産業振興機構(Anaergia Japan株式会社 寄稿):バイオガスプラントの導入による家畜排せつ物の効率的な利用に向けて
| 稼働率を下げている要因 | 主因 | 改修での対応 |
|---|---|---|
| ポンプの詰まりや機器トラブルによる停止 | 機器選定 | 機器更新で対応しやすい |
| 発酵槽内の固形物蓄積・発酵管理の不調 | 前処理・撹拌 | 前処理設備の追加で対応可 |
| 想定したガス発生量・発電効率の未達 | 設計前提と原料性状のズレ | 制御系・設備更新で対応可 |
| 稼働開始後のアフターサポート不足 | 運用体制 | 設備ではなく契約の問題 |
| 消化液の散布先不足 | 立地条件 | 濃縮・脱水など別枠の投資が必要 |
上の4項目は、発酵の原理そのものではなく、機器選定や運用体制に起因する課題です。同社はこれを「バイオガスプラントは機械ではなく運用システムである」と表現しています。
裏を返せば、発酵槽そのものを作り直さずとも、周辺設備や制御に手を入れることで改善効果を得やすい領域といえます。一方、最終行の消化液だけは設備単体では解決できません。
点検周期や修繕範囲の考え方は、バイオガスプラントの保守メンテナンスで整理しています。
イタリアZilio案件 処理能力を倍増しRNG生産を増強
アナージアジャパンが推進するリパワリングの海外参考事例をご紹介します。
アナージアは2025年9月、イタリア子会社Anaergia S.r.l.を通じて、ヴェネト州の農業法人Società Agricola Zilioとの間で、自社が2011年に建設したメタン発酵施設をリパワリングすると発表しました。
農業系原料の処理能力を約2倍に引き上げ、年間20,000MWhを超えるバイオメタンをイタリア国内のガス導管網へ注入する計画です。
発表時点では、2026年半ばまでの運転再開見込み、増強後の想定売上は470万カナダドル超と示されました。
この案件が示しているのは、リパワリングが単なる設備の「延命策」にとどまらないという点です。
築15年の設備に対し、処理能力を倍増させたうえで、数億円規模の売上を見込む工事が成立しています。設備全体を新設することなく、原料の受入量と収益の規模そのものを引き上げた事例といえます。
なお、イタリアでは2011年前後に建設された農業系バイオガス発電設備を、その後の助成制度のもとでバイオメタン生産へ転換する改修が広く行われてきました。
同種の動きは、EnviTecのスロバキア案件でも確認できます。
日本国内では現時点で売電が主流であり、同様の転換が進むかどうかは、制度設計や利用インフラの整備状況に左右されます。
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